水泳ダイエットとは、運動強度の高い有酸素運動のひとつである「水泳」を行うことで、理想の身体に近づくダイエット方法です。
水泳は、浮力により膝や腰に負担を掛けず、身体に負荷をかけることが可能となり、水の抵抗により多くのカロリーを消費できるダイエットに適した運動といえるでしょう。※1※2
そこで今回は、水泳ダイエットの特徴をはじめ、そのメリットや効果、取り組む際のコツなどについてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
多くのエネルギーを消費できる!ダイエットにおける水泳ダイエットとは
水泳は、抵抗や浮力、圧力など水の特性を活かした有酸素運動の一種です。水の抵抗を全身に受けるため、陸上で運動するとき以上に多くのエネルギーを消費します。※1※2 実際に、水泳(往復水泳:自由形、クロール、ゆっくり、楽からほどほどの労力)のMETs*が5.8なのに対し、ウォーキング(歩行:散歩、仕事の合間に歩く)は3.5、筋力トレーニングは(フィットネスクラブでの運動:全般)は5.5となっています。※3
また、水には体熱を奪う性質があり、水中にいるだけで体温を維持するためにエネルギーを消費します。※2 さらに、水圧による締め付け効果により血行が促され、下半身に溜まりがちな老廃物が排出されやすくなります。※2 老廃物が除去されれば足がむくみづらくなるため、結果として足が細く見えるようになるのです。※4
こうした点からも、水泳は「摂取エネルギー量<消費エネルギー量」を実現しやすく、かつむくみを予防しやすい有酸素運動といえます。習慣的に取り組めば、ダイエット効果が大いに期待できます。
※ METs:「Metabolic Equivalents(代謝の量)」の略称。安静時を1としたときと比べて、何倍のエネルギーを消費するかをもとに活動の強度を示したもの。
水泳ダイエットのメリット・効果とは
では、水泳には具体的にどのようなメリット・効果があるのでしょうか。
【メリット】天候を問わず取り組める
水泳に取り組むメリットには「天候を問わず取り組める」という点があります。基本的に、室内プールで泳ぐことになるので、雨の日でも雪の日でもダイエットに励むことが可能です。
水泳をはじめとする有酸素運動において、エネルギー源が体脂肪に切り替わるのは運動を始めて20分ほど経ってからといわれています。※5 水泳なら、いくら天気が悪くなっても途中で切り上げる必要がないため、無理のない範囲で長く取り組むことができます。
【メリット】浮力の影響で身体への負担が少ない
水泳のメリットには、ほかにも「身体への負担が少ない」という点があげられます。水の浮力によって足腰・関節・靭帯への負担が軽減されるため、楽にダイエットに取り組めるのです。※2
また、水泳には骨・関節・筋肉における血液の流れを促し、柔軟性を高める効果もあります。※6 これにより、肉離れや捻挫、骨折などの傷害が起こりづらくなるため、安全性も高いといえます。※6
【効果】水の抵抗によって筋肉を刺激できる
水泳の効果には「筋肉を刺激できる」という点があげられます。普段は受けない抵抗(水の抵抗)によって、あまり使わない筋肉を使うことができるのです。※2 これにより、ほどよい刺激を受けることができ、結果として筋力トレーニング(以下 筋トレ)のような効果が期待できます。たとえば、水泳に取り組むにあたり水の中を歩いただけでも、陸上で歩く場合と比べて大腿部の筋群と前脛骨筋の活動が大きく増加することがわかっています。※1
【効果】基礎代謝が高まり、全身の血流が促進される
水泳では全身の筋肉を満遍なく刺激できるため、筋肉量が増加し、基礎代謝が高まる効果が期待できます。※7 また、全身を動かす運動だからこそ全身の血流が促進され、血流が滞ることで起こる「肩こり」や「むくみ」の対策や解消にも役立ちます。※8
さらに水泳をはじめとした運動には、免疫力向上の効果が期待できることもわかっています。※8
水泳ダイエットの効果的な頻度・時間とは
ダイエット目的で水泳に取り組む場合、気になるのは「どれくらいの頻度・時間で取り組むべき?」「ダイエット向きの泳ぎ方はあるの?」という点ではないでしょうか。以下にて、その疑問にお答えします。
水泳ダイエットの効果的な頻度
当然ながら、水泳によるダイエット効果はすぐに得られるわけではありません。継続してはじめて実感することができます。つまり、水泳を通してダイエットを成功へと導くには「水泳を習慣化させること」が必須です。水泳をはじめとする運動を習慣化させるには、「1回30分以上、それを週2回以上行うこと」が望ましいといわれています。※9 理想の身体に近づくためにも、水泳に取り組む際は週2回以上を目安にしましょう。
水泳ダイエットに効果的な1回あたりの時間
繰り返しになりますが、水泳を含む有酸素運動においてエネルギー源が体脂肪に切り替わるのは、運動を始めて20分ほど経ってから。※5 くわえて、運動を習慣化させるには1回あたり30分以上行うのがよいといわれています。※9 つまり、水泳を通してダイエット効果を得るには「最低でも1回あたり30分」は継続して取り組む必要があるのです。無理のない範囲で、なるべく30分は泳ぐよう心がけましょう。
水泳ダイエットの効果的な頻度・時間とは まとめ
- ダイエットで水泳に取り組む頻度は、週2回以上がおすすめ
- 1回あたり、最低でも30分は継続して取り組むのがおすすめ
水泳ダイエットに効果的な泳ぎ方
水泳とを一言でいっても、その泳ぎ方にはさまざまな種類があります。中でもダイエット効果が期待できるのは、「水中ウォーキング」と「クロール」「背泳ぎ」「平泳ぎ」の4つです。
水中ウォーキング
水中ウォーキングは、その名のとおり「水の中を歩くだけ」なので泳げない方も取り組める運動です。歩行速度によってMETsは異なり、それぞれ以下のようになっています。※3
速度 | METs |
---|---|
楽な労力、ゆっくり | 2.5 |
ほどほどの労力、ほどほどの速さ | 4.5 |
きつい労力、速い | 6.8 |
ある程度速さを意識すれば、ウォーキング(歩行:散歩、仕事の合間に歩く)以上のエネルギーを消費できます。そのため、水中ウォーキングに取り組む際は、早歩きをするようなイメージを持つとよいかもしれません。
クロール
ダイエット効果が期待できる泳ぎ方には、クロールがあげられます。もっともオーソドックスな泳ぎ方なので「これならできる」という方も多いのではないでしょうか。そんなクロールも速さによってMETsが異なり、それぞれ以下のようになっています。※3
速度 | METs |
---|---|
クロール、ゆっくり、楽からほどほどの労力 | 5.8 |
ふつうの速さ、45.7m/分未満、きつい労力 | 8.3 |
速い、68.6m/分未満、きつい労力 | 10.0 |
水中ウォーキングと同じく、速さを意識すると多くのエネルギーを消費できることがわかります。とはいえ、クロールでゆっくり泳ぐだけでもウォーキング(歩行:散歩、仕事の合間に歩く)・筋トレ(フィットネスクラブでの運動:全般)以上のエネルギーを消費できるため、効率よく理想の身体を目指せるといえます。
背泳ぎ
背泳ぎは、特に浮力を利用する泳ぎ方です。ほかの泳ぎ方に比べて体力を消耗しにくいほか、顔を水につけずに泳ぐため、水泳が苦手な方も取り組みやすいといえます。そんな背泳ぎのMETsは以下のとおりです。※3
速度 | METs |
---|---|
背泳ぎ、レクリエーション | 4.8 |
背泳ぎ、全般、トレーニング、競技 | 9.5 |
クロールと比較すると消費できるエネルギーの量は少ないですが、水中ウォーキングよりは多いため、泳ぐことに慣れてきたら取り組んでみるとよいかもしれません。また、背泳ぎはほかの泳ぎ方に比べてリラックスしやすいので、「今日は軽めに運動したい」というときにも最適といえます。
平泳ぎ
両足を使ったキックの動作や両手で水をかけ分けることによって進む「平泳ぎ」は、ダイナミックに全身を動かすため、短時間でも高い消費カロリーが見込めます。そんな平泳ぎのMETsは、それぞれ次のようになっています。※3
速度 | METs |
---|---|
平泳ぎ、レクリエーション | 5.3 |
平泳ぎ、全般、トレーニング、競技 | 10.3 |
平泳ぎの強度は、背泳ぎよりもやや高く、クロールよりも低いため、ゆったりとリラックスしながら泳ぎたい時に取り組むとよいのではないでしょうか。また、背泳ぎやクロールとは異なり、しっかり前を見ながら泳げるため、プールに慣れていない人でも取り組みやすいといえるでしょう。
水泳ダイエットに効果的な泳ぎ方 まとめ
・ダイエット向きの泳ぎ方は、水中ウォーキングとクロール、背泳ぎ、平泳ぎの4つ
水泳ダイエットの効果を最大化させる4つのコツ
では、水泳によるダイエット効果を最大化させるには、どのようなポイントを押さえればよいのでしょうか。以下にて主な4つのコツをご紹介するので、ぜひご参考ください。
泳ぐ前にストレッチをする
水泳に取り組む際は、はじめにストレッチを行うことが大切です。なぜなら、その後の運動による筋力増強の効果が向上する可能性があるため。※10 つまり、水泳による筋トレの効果がグッと高まることが考えられるため、結果としてダイエット効果を最大化につながるのです。
さらに、ストレッチは怪我の予防や疲労回復にも効果があるといわれています。※11安全に効率よくダイエットに励むためにも、水泳を含む運動を行う際はストレッチを欠かさず行いましょう。
なお、ストレッチそのものもダイエットに効果的といわれています。詳しくは、以下の記事でご紹介していますので、ぜひあわせて読んでみてください。
全身を使ってゆっくり泳ぐことを意識する
水泳によるダイエット効果を最大化するには、「全身を使えるようゆっくり泳ぐこと」を意識することが大切です。仮に、速さを追い求めて力強く泳ぐと(=運動強度が高まると)、無酸素運動になってしまう可能性があります。※12 その場合、有酸素運動の脂肪燃焼効果が得られなくなり、ダイエット効果が低減しかねません。※5 水泳に取り組む時間を無駄にしないためにも、身体を大きく動かし、ゆっくり泳ぐよう心がけましょう。
無酸素運動をあわせて行う
無酸素運動に取り組むことも、有酸素運動のひとつである水泳のダイエット効果の最大化につながります。なぜなら、脂肪燃焼効果が期待できる有酸素運動に対し、無酸素運動は筋肉量の維持・増加が期待できる運動であるためです。※5※13 筋肉量が増えればその分基礎代謝も高まるため、太りづらく痩せやすい身体に近づけることができます。※14 つまり、この2つの運動をあわせて行えば、より効率よく理想の身体を目指せるのです。※15
なお、有酸素運動と無酸素運動の関係性、そして無酸素運動の代表格である筋トレに関する情報は、それぞれ以下の記事でご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
有酸素運動によるダイエットの効果最大化には筋トレが不可欠!その理由とおすすめメニュー
筋トレの適切なタイミングと頻度は?時間帯にこだわって効果を最大限に引き出そう
栄養バランスの整った食事を取る
「ダイエット中は、極力食事を取らないほうがいいのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、それはおすすめできません。なぜなら、絶食するとかえって太りやすくなってしまうためです。※16痩せたいからと一切食事を取らないということは避け、栄養バランスの整った食事を1日3回取ることを心がけましょう。
なお、ダイエット中の食事については以下の記事で詳しく解説しています。朝・昼・夜におすすめのメニューもご紹介しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
ダイエット中に最適な食事メニューとは?朝・昼・夜に分けてご紹介
要チェック!水泳によるダイエット効果を最大化させる4つのコツ まとめ
- 水泳による筋トレの効果を高め、かつ怪我を予防するためにも泳ぐ前にストレッチをする
- 有酸素運動の脂肪燃焼効果を確実に得るため、全身を使って泳ぐよう意識する
- 効率よく理想の身体を目指すため、筋トレをはじめとする無酸素運動もあわせて行う
- 太りやすい身体にならないよう、栄養バランスの整った食事を1日3回取る
水泳を通して理想の身体を目指してみよう
水泳は、ダイエット向きの有酸素運動です。水の抵抗や温度、圧力がもたらすさまざまな作用により、効率よく理想の身体を目指せます。「ウォーキングや筋トレが苦手」「身体への負担を最小限に抑えたい」という方は、ぜひ水泳を通してダイエットに励んでみてください。
なお、水泳とともに無酸素運動に取り組むなら、ぜひ24/7ワークアウトをご利用ください。専門的な知識・技術に長けたプロのトレーナーがマンツーマンで筋トレをサポートします。また、食事面に関するアドバイスも行っているため、身体の中からダイエットにアプローチすることが可能です。水泳と筋トレの相乗効果で、ダイエットをより効率的に進めましょう。
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参照文献
※1 体力科学.水中及び陸上運動時の下肢筋群における筋活動とその違い.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm1949/53/1/53_1_141/_pdf(参照 2021年2月5日)
※2 e-ヘルスネット.アクアエクササイズ.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-071.html(参照 2021年2月5日)
※3 国立健康・栄養研究部.改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』.https://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/2011mets.pdf(参照 2021年2月5日)
※4 大阪市立大学 大学院医学研究科・医学部医学科.1日5分!足のむくみを解消するマッサージ方法.http://www.med.osaka-cu.ac.jp/liver/m-db/doc/20161007-03.pdf(参照 2021年2月5日)
※5 e-ヘルスネット.エアロビクス / 有酸素性運動.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-072.html(参照 2021年2月5日)
※6 武藤 芳照.第9回都民公開講座「関節痛とつきあう」関節痛と水泳.https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjmj/48/2/48_202/_article/-char/ja/(参照 2021年2月5日)
※7 e-ヘルスネット. 加齢とエネルギー代謝https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-004.html(参照 2023年4月12日)
※8 スポーツ庁.スポーツを通じた健康増進についてhttps://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/pdf/002_05_00.pdf(参照 2023年4月12日)
※9 CiNii.運動時間の違いによるストレスへの影響:運動習慣獲得のために,ストレスの少ない運動時間の検討.https://ci.nii.ac.jp/naid/130005247028(参照 2021年2月5日)
※10 理学療法―臨床・研究・教育.短時間の静的ストレッチングが柔軟性および筋出力に及ぼす影響.https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/21/1/21_51/_pdf(参照 2021年2月5日)
※11e-ヘルスネット.ストレッチング.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-082.html(参照 2021年2月5日)
※12 e-ヘルスネット.無酸素性代謝閾値 / AT.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-056.html(参照 2021年2月5日)
※13独立行政法人 労働者健康安全機構 関西ろうさい病院.運動と効果.https://www.kansaih.johas.go.jp/blog/10211.html(参照 2021年2月5日)
※14e-ヘルスネット.基礎代謝量.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-019.html(参照 2021年2月5日)
※15 九州大学学術情報リポジトリ.有酸素運動および筋力トレーニングが身体組成と体力へ及ぼす効果一高等学校女子生徒の体育授業を通して一.https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/659/KJ00000092979-00001.pdf(参照 2021年2月5日)
※16佐藤 真樹 , 宮下 愛未 , 徳山 薫平.〈総説〉食べ方と肥満 : 食事の摂り方がエネルギー代謝におよぼす影響.体育科学系紀要.2010年.https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=19171&item_no=1&attribute_id=17&file_no=1(参照 2021年2月5日)