ダイエットに取り組む中で、「腹圧」という言葉を見聞きしたことはありますか? ダイエットとは無関係のように思えますが、実は腹圧が高いほうが理想の身体を目指しやすいといわれています。
そこで今回は、腹圧の特徴をはじめ、腹圧を高めるメリットやトレーニングについてご紹介します。効率的に理想の身体を目指すためにも、ぜひ読んでみてください。
身体の安定性を左右する!「腹圧」について
まずは、腹圧について理解を深めることから始めましょう。
そもそも「腹圧」って何?
腹圧とは「腹腔内圧」の略称です。腹腔とは腹腔内(横隔膜、腹横筋、骨盤底筋群、脊柱、多裂筋群)で囲まれた内側の空間のこといい、腹腔内圧とは腹筋と横隔膜の収縮によって腹腔(内臓が集まっている箇所)にかかる圧力のことを指します。腹圧は身体の姿勢を安定させたり排尿・排便に貢献したりと、さまざまな働きをします。※1
腹圧が高い・低いとは?
腹圧には高い状態と低い状態があり、それぞれで上半身の安定性が大きく変わってきます。 腹圧が高いときは、上半身がお腹に乗り安定している状態です。横隔膜が下がり、かつ腹腔周りの筋肉が収縮しているため、体幹が安定して正しい姿勢をキープしやすくなります。これに対し腹圧が低いときは、上半身がお腹に乗らず不安定な状態です。バランスを取ろうと無意識のうちに脚を組んだりすぐ寝そべったりすることが増え、悪い姿勢を取りやすくなります。
体幹とは何が違うの?
腹圧と体幹はよく同じものとして扱われますが、実はまったくの別物です。腹圧が「腹腔にかかる圧力」なのに対し、体感は「四肢と頭部を除いた身体の部位」を指します。※2 腹圧が高まると体幹が安定するという相互関係はあるものの、決して同義ではないので間違えないよう注意しましょう。
ダイエットに影響する?「腹圧」について まとめ
- 腹圧とは、腹筋と横隔膜の収縮によって腹腔にかかる圧力のこと
- 腹圧が高いと、体幹が安定して正しい姿勢をキープしやすくなる
- 腹圧が低いと上半身が不安定になるため、姿勢が悪くなりやすい
- 腹圧は腹腔にかかる圧力、体幹は四肢と頭部を除いた身体の部位を指すため、この2つは別物
ダイエットに影響する?腹圧を高める3つのメリット
ダイエットを成功へと導くには、腹圧を高めるに越したことはありません。その理由には、以下でご紹介する3つのメリットが関係しています。
1.姿勢が安定する
腹圧を高めるメリットには、まず「姿勢が安定する」という点が挙げられます。これには腹圧そのものの働きが関係しており、昇圧するほど正しい姿勢を維持しやすくなるのです。※3 姿勢が安定すれば身体に無駄な力が入らなくなるので、トレーニング時にエネルギーを適切に使えるようになり、結果としてダイエット効果を最大化しやすくなります。
2.腹部が引き締まる
「腹部が引き締まる」という点も、腹圧を高めるメリットのひとつです。仮にぽっこりお腹に悩んでいる場合、その原因は単に肥満である可能性もありますが、腹圧の低さが関与しているケースもゼロではありません。なぜなら、腹圧が低いと内臓が本来の位置よりも下にきてしまう「内臓下垂」を引き起こす可能性があるからです。※4 内臓の位置が下がればその分お腹が膨らむので、これが原因でウエストに悩みを抱くケースがあるのです。
とはいえ、これは言い換えると「腹圧を高めれば内臓下垂を改善できる」ということ。お腹が引き締まれば理想の身体にグッと近づくので、腹圧を上昇させることはダイエットに有効だといえます。
3.腰痛予防ができる
腹圧を高めるメリットには、ほかにも「腰痛を予防できる」という点があります。腹圧が高い状態とは、いわば目に見えないコルセットを巻いている状態です。※5 体幹が安定して正しい姿勢をキープしやすくなるので、腰痛を引き起こしづらくなります。仮に、腹圧が低いことで腰へ過度な負担がかかっていると、満足にトレーニングを行えません。それではダイエットを成功させることは不可能なので、理想の身体に近づくには腹圧の上昇が欠かせないといえます。
なお、腹圧を高めることにデメリットはほとんどありません。とはいえ、昇圧状態をキープするのがよいわけでもなく、身体の状態に合わせて腹圧を機能させるのがベストといえます。そのため、もし「楽な姿勢を取ることが多くなった」「お腹が出てきた」などの変化が現れたら、そのときは腹圧を高めることに注力するとよいかもしれません。
うれしい効果につながる!腹圧を高める3つのメリット まとめ
- 姿勢が安定し身体に無駄な力が入らなくなるので、トレーニングの効果を最大化しやすくなる
- 内臓の位置が下がる「内臓下垂」を改善できるため、お腹を引き締めやすくなる
- 体幹が安定し腰痛を引き起こしづらくなることで、満足なトレーニングを行えるようになる
- 腹圧を高めることにデメリットはないが、身体の状態に合わせて昇圧させることが大切
誰でもできる!腹圧を高めるトレーニング3選
では、腹圧を高めるには具体的に何をすればよいのでしょうか? 以下にて、誰でも簡単に取り組めるトレーニングを3つご紹介します。
1.ドローイン
腹圧を高めるトレーニングには、まず体幹トレーニングの一種である「ドローイン」が挙げられます。正しい方法で呼吸することにより腹横筋を収縮させられるほか、腹斜筋や骨盤底筋を刺激することもでき、これらの効果によって腹圧が高まります。※6※7 また腹横筋が収縮することで、腰痛の解消やくびれ作りも期待できます。
【やり方】
- 仰向けに寝たら、膝を立てて60~90度ほどに曲げる
- 太ももの横に両手を置く(手のひらは上向きにする)
- 息をゆっくりと吐きながら、5秒ほどかけてお腹を凹ませる
- 息をゆっくりと吸いながら、5秒ほどかけてお腹を元に戻す
2.ブレーシング
インナーマッスルに刺激を与える呼吸法「ブレーシング」も、腹圧を高めるトレーニングのひとつです。息を吐くときにお腹を膨らませることで腹横筋をはじめ、外腹斜筋や内腹斜筋、多裂筋、骨盤底筋群、横隔膜などへアプローチでき、結果として腹圧が高まります。※8
【やり方】
- 仰向けに寝たら、膝を立てて60~90度ほどに曲げる
- 太ももの横に両手を置く(手のひらは上向きにする)
- お腹周りを手で圧迫しながら息をゆっくり吸い、お腹を膨らませる
- お腹を膨らませたまま、浅い呼吸で10〜30秒ほどキープする
3.ツーポイントプランク
腹圧を高めるトレーニングには、お腹周りを中心に全身を鍛えられる「ツーポイントプランク」もあります。対になる手と脚で身体を支えることによって体幹・背中の両方を鍛えられ、これが腹圧の上昇につながります。
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【やり方】
- うつ伏せの姿勢になったら、両肘を床につけてつま先立ちをする
- 右手を前方にあげたら、左足のつま先を床から離す
- 2の体勢のまま10秒ほどキープする(身体が回転しないよう注意する)
- 2と逆の手足をあげ、再び10秒ほどキープする
なお、ツーポイントプランクをはじめとする筋トレを行う際は「呼吸」にも気を配ることが大切です。詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
腹圧を高めてダイエットの無駄を減らそう
腹圧はあまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、実はダイエットの効率化に深く関係しています。仮に、腹圧が低いままだとトレーニング時にエネルギーをうまく使えなかったり、ぽっこりお腹がなかなか改善しなかったりする可能性があります。ダイエットの無駄を省き、効率よく理想の身体を目指すためにも、ドローインやブレーシングなどのトレーニングを通して腹圧を高めましょう。
なお、24/7Workout(24/7ワークアウト)では利用者一人ひとりにヒアリングを行い、その人に合った方法でダイエットをサポートします。身体の状態をもとに一人ひとりに合ったトレーニングプログラムを組むので、効率的に目標達成を目指せます。興味がある方は、この機会にぜひ無料カウンセリングへお越しください。
もし、1人でのダイエットに限界を感じたら、是非一度、無料カウンセリングにお越しください。あなたのダイエットを全力でサポートさせていただきます。
参照文献
※1 畠山 和利, 松永 俊樹, 巌見 武裕, 大高 稿兵, 佐々木 研, 佐藤 峰善, 渡邉 基起, 髙橋 祐介, 島田 洋一.腹腔内圧が体幹安定性に及ぼす影響.https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2014/0/2014_1049/_article/-char/ja/(参照 2021年7月6日)
※2 藤本鎮也 吉田一也 佐藤慎一郎 秋山純和.体幹と理学療法.https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/20/1/20_7/_pdf(参照 2021年7月6日)
※3 高橋 利幸.筋骨格系と姿勢-ヒトの姿勢とその変遷-.https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika1996/10/3/10_3_149/_pdf(参照 2021年7月6日)
※4 日本大学生物資源科学部.SportZERO No.63.https://www.brs.nihon-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018_07month1.pdf(参照 2021年7月6日)
※5 赤木 繁夫.関西医科大学第9回市民公開講座「腰痛について」.http://www2.kmu.ac.jp/openSeminar/open09/04akagi.html(参照 2021年7月6日)
※6 谷本 道哉.体幹トレーニングの流行の背景と効果に関する考察.https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/27/1/27_27-003/_pdf/-char/en(参照 2021年7月6日)
※7 永井良治 中村将都.ドローインによる側腹筋群の筋厚変化と立位・歩行時の安定性についての検討.https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/35/1/35_129/_pdf(参照 2021年7月6日)
※8 間所 祥子, 三秋 泰一.ドローインとブレーシングが側腹部筋厚に与える影響.https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/47S1/0/47S1_A-72_2/_article/-char/ja/