部分痩せはその名のとおり、身体の一部を引き締めることを指します。しかし、実際に取り組んでみたものの、明確にうれしい効果が現れた方は極めて少ないはずです。では、その理由には、一体どのような要因が関係しているのでしょうか。
今回は、部分痩せに取り組むうえで押さえておきたい基礎情報・真実とともに、部分的な引き締め効果を実感しやすくなる身体づくりの方法についてご紹介します。二の腕や太ももなど、一部に特化したボディメイクを行いたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
今話題の部分痩せとは?
部分痩せとは、身体の一部だけを引き締めるダイエット方法です。二の腕やお腹、脚など、気になる部位を集中的にシェイプアップすることを目的としています。実際に運動やストレッチを通して、部分痩せに挑戦したことがある方もいるのではないでしょうか?
部分痩せはよく知られているダイエット方法である一方で、その成果を十分に得られたという経験談はあまり耳にしません。そうなると気になるのは「部分痩せは可能なのか」という点です。現実的に、身体の一部だけを細く引き締めることはできるのでしょうか?
不可能ってホント?部分痩せに関する情報
結論からいうと、部分痩せは不可能です。その理由については以下で詳しく解説します。
理論的には不可能。部分痩せの実態
部分痩せが不可能とされる主な要因には、体脂肪の特性が大きく関係しています。
体脂肪には「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2つがあり、それぞれに異なる特徴があります。内臓脂肪はその名のとおり、内臓周りについた脂肪のことを指し「つきやすく落としやすい」という特徴があります。※1※2 一方皮下脂肪は、皮下組織についた脂肪のことを指し、「一度ついてしまうと落とすのに時間がかかる」という特徴を持っています。※3
部分痩せを実現するには、気になる部位の体脂肪を落とす必要がありますが、運動をして筋肉をつけたり食事制限をしたりしたとき、真っ先に落ちるのは内臓脂肪です。※4つまり、二の腕や脚についた脂肪を優先的かつ集中的に落とすのは困難なのです。こうした点から、気になる部位だけを引き締めるのは理論上不可能といわれています。
また、運動(有酸素運動)によって脂肪が分解されるという事実から、仮に「下半身を動かす運動をすれば脚が細くなる」と思っている方もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。※5 なぜなら、分解される脂肪が必ずしも運動している部位にあるとは限らないためです。この点からも、部分痩せは不可能だと考えられています。
脂肪を蓄えやすい場所は人によって違う
脂肪を蓄えやすい場所は、基本的に性別で異なります。
たとえば女性の場合は、内臓脂肪よりも皮下脂肪の比重が大きく、これは授乳期に備えた身体の仕組みによるものといわれています。※3 お尻や太ももをはじめとする下半身に脂肪がつきやすいので、「洋ナシ体型」になりやすいのが特徴です。※3
一方、男性の場合は内臓脂肪が優先的に蓄積されます。そのため、下半身よりもお腹周りが大きくなる「リンゴ体型」になりやすいのが特徴です。※1
部分痩せの対象になりやすい部位
部分痩せの対象になりやすい部位には、どこがあるのでしょうか。上半身と下半身に分けてご紹介します。
上半身
上半身において、多くの人が部分痩せしたいと感じる部位には二の腕やお腹周り、アゴ、背中があげられます。とくにアゴは、現代人ならではの気になるポイントといえます。なぜなら、スマートフォンを操作する際に顎を下げたり、姿勢が悪く(猫背に)なったりすることが多いためです。※6 この姿勢が長時間続くと血行が悪くなるほか、筋肉がたるんでむくみを引き起こしやすくなります。※7※8 顔が大きく見えたり二重アゴになったりしてしまうため、こまめに首・顔の運動をして血行促進を図ることが大切です。
下半身
下半身において多くの人が部分痩せしたいと感じる部位にはおしりや太もも、ふくらはぎなどがあります。身体の性質上、女性は男性よりも皮下脂肪がつきやすいため、上半身よりも下半身が気になる女性は多いと考えられます。※3
さらに、昨今は気軽に外出できないことから、仕事・プライベートを問わず長時間同じ姿勢で過ごすことが増えています。そうなると、脚がむくみ、より太く見えてしまうのです。※9
これらの要因による影響を受けつつも、理想的な下半身に近づくためには、ストレッチをしたり有酸素運動に取り組んだりと、こまめに身体を動かすことが不可欠といえます。
なお、以下の記事では下半身が太くなる原因やダイエット方法について詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
不可能ってホント?部分痩せに関する情報 まとめ
- 運動や食事制限をしても内臓脂肪から落ちていくため、部分痩せは理論上不可能
- 脂肪を蓄えやすい場所は性別によって異なり、女性は下半身、男性はお腹周り
- 上半身における部分痩せの対象になりやすい部位は、二の腕やお腹周り、アゴなど
- 下半身における部分痩せの対象になりやすい部位は、おしりや太もも、ふくらはぎなど
部分的な引き締め効果を実感しやすくなる身体の作り方
部分痩せそのものは理論上不可能でも、部分的な引き締め効果を実感しやすくなる身体づくりは行えます。
マッサージ
マッサージをすることで血流がよくなり、むくみを取り除くことができます。※10※11また、むくみが取れることで見た目も細くなるため、結果として部分的な引き締め効果が期待できます。※11
マッサージは血行促進のほかに「リンパ」の働きを促進する効果もあります。※119 リンパは身体の中の「リンパ管」を伝って全身に行き渡っており、老廃物の排泄機能を持っています。※12 そのため、マッサージをすることは老廃物の排出につながり、結果としてむくみが改善され見た目を細くすることができるのです。※10
なお、マッサージのメリットや具体的なマッサージの方法については、以下の記事でご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
筋肉をつける
部分的に脂肪を落とすことは不可能ですが、鍛えて筋肉をつけることは可能です。全体の脂肪を落としつつ筋トレをして筋肉量を増やせば、引き締め効果を得ることができます。※13さらに、筋肉量が増えれば基礎代謝が高まるため「太りにくく痩せやすい身体へと近づける」というメリットも得られます。※14
なお、お腹周りのダイエットをご希望の方は、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。美しいウエストラインに近づける「腹筋ダイエット」についてご紹介しています。
有酸素運動をする
有酸素運動は、余分な脂肪を落とすには最も効果的な運動です。※5
身体を動かすときは、糖質・脂質・タンパク質の3つの栄養素がエネルギー源となります。※15 中でも、糖質が優先的にエネルギーとして消費されますが、長時間運動を続けているとエネルギー源は脂質へと切り替わります。※16
有酸素運動は身体への負担が軽く、20分を超えたあたりからエネルギー源が糖質から脂質へと切り替わります。※5 部分痩せとしての効果は見込めませんが、有酸素運動を継続して行うことで全身の脂肪を落とす効果が期待できます。
なお、有酸素運動に取り組む場合は、押さえておきたいポイントについてまとめた下記の記事も参考にしてみてください。
ランニングダイエットをもっと効果的に!押さえておきたいポイントまとめ
部分的な引き締め効果を実感しやすくなる身体の作り方 まとめ
- 気になる部分をマッサージすることでむくみ・老廃物を取り除き、見た目を細くできる
- 筋肉をつけると身体が引き締まり、筋肉量が増えると基礎代謝が上がり痩せやすくなる
- 20分以上の有酸素運動に取り組んで、身体全体の脂肪を落とす
身体の仕組みを理解してできることから始めよう
部分痩せは、気になる部位だけを引き締めるダイエット方法とされていますが、理論上そうしたシェイプアップは不可能とされています。
ただし、部分的な引き締め効果を実感しやすくなる身体づくりは行えます。マッサージをしたり筋肉をつけたり有酸素運動をしたりすることで、気になる部位にくわえて全身の脂肪を落とす効果が期待できます。「部分痩せは無理だから」と諦めず、まずは部分的な引き締め効果を得られる身体を作ることから始めてみましょう。
24/7Workoutは、トレーニングのマンツーマン指導はもちろん、食事面のアドバイスやサポートも行っているパーソナルトレーニングジムです。利用者一人ひとりの悩みに寄り添い、短期間で効率よく成果を出すための専用メニューを組み立て、提案・実施していきます。「二の腕のたるみをなくしたい」「下半身が細くならない」「お腹が出始めた」という方は、ぜひこの機会に24/7Workoutの利用をご検討ください。
なお、24/7Workoutをはじめとするパーソナルトレーニングジムに関する詳しい内容は、以下の記事にてご紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
参考文献
※1 e-ヘルスネット.内臓脂肪型肥満.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-051.html(参照 2020年11月2日)
※2 あなたは大丈夫?メタボリックシンドローム.独立行政法人 労働者健康安全機構 福島産業保健総合支援センター.https://www.fukushimas.johas.go.jp/media/files/satellite/archive/202002.pdf(参照 2020年11月17日)
※3 e-ヘルスネット.皮下脂肪型肥満.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-054.html(参照 2020年11月2日)
※4 メタボリックシンドロームと脂肪細胞.〈第49回 日本人間ドック学会学術大会〉.https://www.jstage.jst.go.jp/article/ningendock2005/23/5/23_1080/_pdf/-char/ja(参照 2020年11月17日)
※5 e-ヘルスネット.エアロビクス / 有酸素性運動.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-072.html(参照 2020年11月2日)
※6 第 32 回ファジィシステムシンポジウム 講演論文集.スマートフォン使用時と非使用時の脊椎姿勢の比較.https://www.jstage.jst.go.jp/article/fss/32/0/32_687/_pdf/-char/en(参照 2020年11月17日)
※7 独立行政法人 労働者健康安全機構.家庭でできる運動シリーズ(理論編)“首・肩に症状がある方に”.https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/oshirase/pdf/reef4kubi.pdf(参照 2020年11月17日)
※8 一般財団法人 茨城県メディカルセンター.その肩こりはスマホのせいかも?スマートフォンが引き起こす健康・美容への悪影響とは(2016年2月).http://imc.or.jp/archives/mamechishiki/%E3%81%9D%E3%81%AE%E8%82%A9%E3%81%93%E3%82%8A%E3%81%AF%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%9B%E3%81%AE%E3%81%9B%E3%81%84%E3%81%8B%E3%82%82%EF%BC%9F%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3(参照 2020年11月2日)
※9 日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌.リンパ浮腫を知るーその発生機序と看護師の役割ー.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnwocm/23/4/23_394/_pdf(参照 2020年11月17日)
※10 日本東洋医学系物理療法学会誌.下肢へのオイルマッサージが健康成人のむくみに及ぼす影響― 複合手技による検討 ―.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsop/39/2/39_47/_pdf(参照 2020年11月2日)
※11 物理療法2.マッサージに血流の改善効果はあるのか.https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2008/0/2008_0_F3P3585/_pdf/-char/ja(参照 2020年11月2日)
※12 加治屋健太朗.河合江理子.岸本治郎.マイケル・デトマー.リンパ管の機能低下が引き起こすしわ形成メカニズムの解明とその薬剤開発.https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/43/3/43_3_192/_pdf/-char/ja(参照 2020年11月17日)
※13 e-ヘルスネット.基礎代謝量.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-019.html(参照 2020年11月17日)
※14 体力科学.減量しながら筋肉量および基礎代謝量を高めることは可能か?.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/66/3/66_209/_pdf/-char/ja(参照 2020年11月2日)
※15e-ヘルスネット.アネロビクス / 無酸素性運動.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-055.html(参照 2020年11月2日)
※16 独立行政法人 農畜産業振興機関.運動と生活習慣病予防~運動時の糖質利用を踏まえて~.https://sugar.alic.go.jp/japan/view/jv_0508a.htm(参照 2020年11月2日)