筋トレを習慣にしたいと考えているものの、いつ行うべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。昼間は仕事や学校などで筋トレを行える時間が限られており、必然的に朝や夜にしか時間が取れない場合も多いでしょう。
この記事では、筋トレに適した時間帯や時間帯別のメリット・デメリット、筋トレを避けたほうが良い時間帯や時間帯別おすすめの筋トレメニューを紹介します。筋トレをする時間に疑問がある方は、ぜひ参考にしてください。
筋トレに適した時間帯とは
筋トレに適した時間帯はありません。朝晩の筋トレ効果を比較した研究論文がありますが、結果として筋力アップや筋肥大の結果にあまり違いはありませんでした。※1
ただし、時間帯によって筋肉の動きやすさや体温には違いがあります。夕方は朝に比べて体温が高く、筋肉が動きやすい状態です。
筋トレの結果に大きな差が出るわけではないので、時間帯にこだわらず、自分の生活に合った時間に筋トレを行うのが良いでしょう。
【時間帯別】筋トレを行うメリット
時間帯によって、筋トレを行うメリットは異なります。得られるメリットで筋トレの時間帯を決めるのも良いでしょう。
朝と昼・夕方・夜の時間帯で筋トレを行うメリットを紹介します。
朝に筋トレを行うメリット
朝に筋トレを行うのは、メンタル面に大きなメリットがあります。身体を動かすとポジティブな気分になり、筋トレを行った達成感で一日の満足度が上がりやすいです。
筋トレを行うと自律神経も整いやすくなり血行が促進されるので、基礎代謝が向上します。脳への血流が促された結果、昼間の集中力アップも狙えるでしょう。
また忙しい方でも、朝なら比較的時間を作りやすいかもしれません。
夜に筋トレを行うメリット
夜に筋トレを行うメリットは、筋トレ後にやるべきことがないので筋トレに集中できる点です。
昼や夕方に比べて筋トレの時間を確保しやすく、朝が苦手な方も習慣化しやすいでしょう。筋トレによる疲労を、睡眠によってすぐに回復できるのもポイントです。
また夜に筋トレを行うと、睡眠中に分泌される成長ホルモンの増加が見込めます。筋肉の回復や筋肥大が行われやすくなるでしょう。
就寝3時間前までの筋トレは、睡眠に良い影響を与えます。人間の身体は、脳の温度が下がると眠りやすくなるのが特徴です。筋トレにより一時的に上がった脳の温度は、就寝時間までに急速に下降します。脳温の下降速度が早いほど入眠しやすく、ぐっすりと眠れます。※2
【時間帯別】筋トレを行うデメリット
それぞれの時間帯には、筋トレを行うデメリットもあります。デメリットを知れば、筋トレによるケガや生活の質の低下を防げます。
メリットだけでなく、デメリットにも注目して筋トレの時間を決めるのがおすすめです。
朝に筋トレを行うデメリット
朝に筋トレを行うデメリットは、ほかの時間帯に比べてケガのリスクが高い点です。
起きたばかりの時間は、体温が低く頭がぼんやりとしており、身体が動きにくい状態です。寝ている間は汗をかき、身体が水分を失っているため、脱水症状も起きやすいでしょう。
朝に筋トレを行う場合は、水分補給をしっかりと行うよう意識しましょう。ウォーミングアップを入念に行うことも大切です。
またハードすぎる筋トレをすると、エネルギーが不足して日中眠くなる場合があります。注意してメニューを組み立てましょう。
昼・夕方に筋トレを行うデメリット
昼・夕方に筋トレを行うデメリットは、筋トレを行う環境を作りづらい点です。昼・夕方は会社や学校に行っている方が多く、筋トレを行うのが難しい傾向にあります。
仮に昼休みに筋トレを行うなら、食事直後の筋トレは身体に負担がかかるため、昼食と時間をずらさなくてはなりません。
また、多くの場合はすぐにシャワーを浴びられる環境ではないため、汗をかくような本格的な筋トレをするには不向きです。昼や夕方に筋トレを行うなら、必然的に休日のみとなるでしょう。
夜に筋トレを行うデメリット
夜に筋トレを行うデメリットは、仕事や学業で疲れている状態から筋トレを行う必要がある点と、スケジュールの管理が難しい点です。
疲れているからと言って、筋トレをサボるのも良くありませんが、無理をするのも禁物です。夜に筋トレを行うなら、その日の体調や帰ってきた時間に合わせて、筋トレの内容を調整する必要があるでしょう。
また、夜の筋トレのタイミングは、食後2~3時間後、就寝の3時間前がベストです。睡眠時間を削ってまで筋トレを行うのはおすすめできないため、帰宅時間が遅い方はスケジュールの管理が難しい場合もあります。
筋トレを避けたほうが良い時間帯とは
1日のなかには、筋トレを避けたほうが良い時間帯もあります。
- 朝起きてすぐの時間
- 食後すぐの時間
- 就寝直前
それぞれの時間帯に筋トレをやらないほうが良い理由を詳しく紹介します。
朝起きてすぐの時間
朝の筋トレにはメリットがありますが、朝起きてすぐ筋トレを行うのは避けましょう。寝ぼけた状態で筋トレを行うと、ケガのリスクが高くなります。
また、起床直後、急に負荷の高い筋トレをすると、血圧が急に上昇しやすくなります。脳卒中や心筋梗塞につながる場合もあるので、高齢者、高血圧の方、不整脈がある方はとくに気を付けましょう。
朝に筋トレを行う際には、身支度や簡単な朝食をすませてから行うのがおすすめです。
食後すぐの時間
食後すぐの時間には、筋トレ行うべきはありません。食後すぐに筋トレを行うと、消化器官へ血液が十分に送られず、消化不良となってしまう場合があります。また、食べものが胃にはいった状態で筋トレをすると、吐き気をもよおす可能性があります。
食後に筋トレを行うなら、食事から2~3時間後が適切です。筋トレ前の食事は、なるべく消化の良い食べものを食べるよう心がけましょう。
食事から時間が経ちすぎると、筋トレを行うためのエネルギーが不足してしまいます。よりよいタイミングを見計らいましょう。
就寝直前
夜に筋トレを行うのは良いですが、就寝直前に行うべきはありません。寝る直前にハードな運動をすると、身体が興奮してしまい寝つきにくくなります。
また、眠気は体温が低くなったときに現れるので、筋トレで体温が高くなった状態は、睡眠に適しているとは言えません。
筋トレ後にプロテインを飲む方もいますが、寝る直前にプロテインを飲むと、胃腸に負担がかかります。プロテインの摂取は少なくとも寝る30分~1時間前までにしましょう。
【時間帯別】おすすめの筋トレメニュー
各時間帯には、それぞれのメリット・デメリットがあります。時間帯に適した筋トレメニューを行えば、デメリットを小さくしつつ、しっかりメリットを得られるでしょう。
朝・昼・夜のおすすめメニューを紹介するので、メニューを組み立てる際の参考にしてください。
朝のおすすめ筋トレメニュー
朝に筋トレを行うのであれば、気軽に自宅で行える自重トレーニングが適しています。
朝のおすすめ筋トレメニューは以下のとおりです。
- ノーマルスクワット
- クランチ
- プッシュアップ
それぞれの種目の詳しいやり方を紹介します。
ノーマルスクワット
下半身の筋肉を刺激するノーマルスクワットのやり方を紹介します。
- 肩幅より少し広く脚を広げる
- つま先は少し外側を向ける
- つま先と膝は同じ方向に向ける
- 前に手を伸ばす
- おしりを引くようにして腰を下ろし、1~2秒キープする
- 膝が伸び切らない程度まで腰を上げる
回数は、20~30回×2~3セットを目安に行いましょう。
クランチ
クランチは、腹部の筋肉を鍛えます。以下で紹介するのは、腹斜筋を鍛えられるバイシクルクランチです。
- 膝を立てた上体で仰向けに寝転がる
- 膝を曲げたまま、太ももと床が90°になるまで脚を上げる
- 両手を頭の後ろにまわす
- 右膝と左肘をくっつけるように上半身をひねる
- 逆側も同様に行う
バイシクルクランチは、自転車をこぐようなイメージで行いましょう。回数の目安は、20回×3セットです。
プッシュアップ
プッシュアップ(腕立て伏せ)では胸筋を鍛えられます。やり方は以下のとおりです。
- うつ伏せに寝転がる
- バストトップの横、肘が90°になる位置に手のひらを置く
- 背中から脚までが一直線になるよう意識しながら、身体を上に押し上げる
- 肘を曲げ、胸が床に着くぐらい身体を真下に下げる
膝を床につけて行うと負荷が下がります。自分の筋力に合うよう調節して行いましょう。
回数の目安は、10~20回×2セットです。
昼休みにできるおすすめ筋トレメニュー
昼休みにできるオススメ筋トレは、以下のとおりです。
- ドローイン
- フロントラットプルダウン
- シーテッドカーフレイズ
それぞれのやり方を詳しく紹介します。
ドローイン
ドローインは、体幹を鍛えるメニューです。呼吸を使ったトレーニングなので、場所を選ばすに行えます。椅子に座ったままでも可能です。
- お腹をふくらませるように、鼻から大きく息を吸う(ふくらませたまま10~30秒止める)
- お腹をへこますように、口から息を細く長く吐く(へこませたまま10~30秒止める)
回数の目安は、10回×3セットです。
ラットプルダウン
ラットプルダウンは、広背筋や僧帽筋を刺激できます。ジムではマシンを使って行いますが、昼休みでも気軽に行えるよう、タオルを使った方法を紹介します。
- 身体の前でタオルを逆手で持つ
- 手首を内側にまわして、タオルが手の甲に当たるようにする
- 背筋を意識しながら腕を上に伸ばす(腕を左右均等な力で引っ張りながら肩甲骨を寄せる)
- 後頭部の後ろを通るように肩の上まで下げる
ラットプルダウンの回数の目安は、10回×3セットです。
シーテッドカーフレイズ
シーテッドカーフレイズは、ふくらはぎの筋肉を鍛えられます。
- 背筋を延ばして椅子に座る
- 床に90°になるよう脚をつける
- かかとを可能なかぎり高く上げてキープする
- ゆっくりとかかとを下ろす
回数の目安は50回です。座ったまま気軽にできるので、仕事や勉強で一息ついたときや電車・バスでの移動時間にもおすすめです。
夜におすすめ筋トレメニュー
夜におすすめの筋トレメニューを紹介します。
- スクワット
- プッシュアップ
- プランク
- バックエクステンション
夜の筋トレは、疲れているなか行う場合も多いでしょう。紹介したメニューは自宅で気軽に行えるメニューばかりです。無理せず行い、習慣化していきましょう。
以下では、プランクとバックエクステンションのやり方を紹介します。
プランク
プランクは、お腹からおしりにかけての筋肉を刺激できます。
- うつ伏せに寝転がる
- 肩の下に肘がくるように手をつく
- つま先を立てて、身体を持ち上げる
- 頭からかかとまでが一直線になるよう意識する
- 姿勢を30秒間キープする
回数は、30秒×3セットが目安です。
バックエクステンション
バックエクステンションは、背筋全体が鍛えられるトレーニングです。
- うつ伏せに寝転がる
- 両手を軽く後頭部に添える
- 背中を反らすと同時に、胸と脚を床から離す
- 2の姿勢に戻る
回数の目安は、10回×2~3セットです。
時間帯を意識して筋トレを行おう!
筋トレをする時間帯による筋力アップや筋肥大の効果には、あまり違いがありません。しかし、時間帯によって筋肉の動きやすさやコンディションには違いがあります。
身体のコンディションだけで考えると、夕方が筋トレを行う際に適していますが、時間帯ごとにそれぞれメリットもあるため、デメリットを合わせて考慮しながら筋トレを行うと良いでしょう。
ただし、寝起きや食事直後、就寝直前はデメリットのほうが大きくなってしまうため、筋トレは避けるべきです。
24/7Workoutでは、朝7時~夜0時までの幅広い営業時間から好きな時間を選んで通えます。予約の変更は、前日の営業時間内まで可能です。終業時間が遅い方でも無理なく通えるでしょう。ジムに通うのが難しい方には、オンラインパーソナルトレーニングも提供しています。
限られた時間のなかで効果的な筋トレを行いたい方は、無料カウンセリングをお試しください。
参照文献
※1ジョゾ・グルギッチ,ブルーノ・ラジニツァ,アレッサンドロ・ガロフォリーニ,ブラッド・J・シェーンフェルド,ニコラスJ.サナー &パヴレ・ミクリッチ.骨格筋肥大と筋力の適応に対する時間別レジスタンストレーニングの効果:系統的レビューとメタアナリシス. https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/07420528.2019.1567524?scroll=top&needAccess=true&journalCode=icbi20(参照 2023年9月28日)
※2e-ヘルスネット.快眠と生活習慣https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html(参照 2023年9月28日)
<監修者プロフィール>
鈴木浩之
春日井市民病院 整形外科 部長。
1994年卒業後整形外科に入局。関連病院で研鑽を積み2012年から現職。
骨折などの手術を積極的に行っているが、最近ではロコモアドバイスドクターとして運動器の障害により移動機能が低下してしまうロコモティブシンドロームの啓蒙など健康寿命を延ばせるよう予防的医療にも取り組んでいる。