チェストプレスは、大胸筋を鍛えるのにおすすめの方法です。しかし、「胸板を厚くしたい」「バストアップしたい」などの理由でチェストプレスを始めたいと感じても、正しいやり方が分からない場合があるでしょう。やり方を間違えると肩回りの筋肉に効果が出たり、ケガにつながったりする可能性もあります。
この記事では、チェストプレスで効果的に大胸筋を鍛えるための正しいやり方や鍛えられる筋肉、行うときの注意点などについても詳しく解説します。
チェストプレスとは
椅子に座り、バーを前に押す運動を行うチェストプレスは、ウェイトトレーニングのひとつで、胸や肩回りの筋肉を鍛えたいときに有効的な筋トレです。男性には厚い胸板を作りたいときに、女性にはバストアップや引き締まった身体を手に入れたいときにおすすめです。
胸周りや肩回りの筋肉は上半身のなかで大きな割合を占めており、鍛えると基礎代謝が上がりカロリー消費を助けるため、チェストプレスを行うのはダイエットにも効果的でしょう。
チェストプレスで鍛えられる筋肉
チェストプレスで主に鍛えられるのは、大胸筋と三角筋です。それぞれの筋肉について解説します。
大胸筋
大胸筋は、上部、中部、下部に分かれています。大胸筋の上部は鎖骨の内側から、肩関節と肘関節をつなぐ「上腕骨」にかけて付いている筋肉で、中部は胸骨・肋軟骨(ろくなんこつ)から上腕骨にかけて付いている筋肉です。下部は腹直筋鞘(しょう)前葉から上腕骨にかけて付いていいます。
大胸筋を鍛えることで、男性の場合は胸板が厚くなり、女性はバストアップにつながります。
また、上部・中部・下部でそれぞれ筋肉が使われるタイミングが異なります。大胸筋を鍛えることで、胸周りの身体のシルエットが整うだけでなく、腕を使った運動パフォーマンスの向上につながるでしょう。
大胸筋の部位 | 筋肉が使われるタイミング |
上部 | 腕を持ち上げたり、斜め上方向に押し上げたりといった動き |
中部 | 腕を内側に閉じる肩関節の動き |
下部 | 腕を斜め下に向けて押し下げる動き |
また、大胸筋下部の腹直筋鞘は、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋で腹直筋をコルセットのように包み込んでおり、鍛えることで大胸筋の形がはっきりします。
三角筋(前部)
三角筋は、肩を覆うようについている筋肉で、「前部(鎖骨部)」「中部(肩峰部)」「後部(肩甲棘部)」に分けられます。
前部は、上腕を前方に上げる・水平に動かす・肩関節を内側にひねるといった動きのときに使う筋肉です。中部は、腕を上げる・外側に開くときに使い、後部は上腕を外側に回す・後ろに引く動きのときに使います。※1
三角筋は上半身のなかでも大きい筋肉のため、鍛えることで腕を使った運動のパフォーマンスの向上だけでなく、基礎代謝が上がり痩せやすい身体になることが期待できます。
チェストプレスの正しいやり方
チェストプレスマシンの正しいやり方を解説します。
筋トレは自分に合った重量や回数で、行うことが大切です。チェストプレスをする際の重量や回数の設定も解説するため、参考にしてください。
チェストプレスマシンの正しい使い方
チェストプレスマシンの正しい使い方は以下のとおりです。※2
- シートの高さを調整し、グリップが肩より下になるように構える
- 胸を張り背筋を伸ばす
- 肩甲骨を寄せたまま腕を押し出す
- ゆっくりとバーを元に戻す
チェストプレスは、前に押し出すときだけでなくバーをゆっくり戻すことで、さらに筋肉への効果が高まります。
2秒で息を吐きながら前に出し、2秒で息を吸いながらバーを戻すと良いでしょう。
チェストプレスは自分に合った重量回数で行う
チェストプレスは、目的に合わせて自分に合った重量で行いましょう。ダイエットが目的の場合は、10回程度で限界をむかえる重量が目安です。筋肉の肥大化が目的の場合は、8回程度で限界をむかえる重量を目安にしましょう。
なお、はじめのうちは強い重量で行うと筋肉を傷めてしまう可能性もあるため、慣れるまでは軽めの重量で行い、扱い方や正しい姿勢を覚えていくのがおすすめです。
チェストプレスの効果を高めるポイント
チェストプレスの効果を高めるポイントを解説します。
意識することで効果的に大胸筋や三角筋を鍛えることができ、ケガの予防にもつながるため、ぜひ参考にしてください。
腕を伸ばしきらない
チェストプレスでは、腕を伸ばしきらないように意識して行いましょう。腕を伸ばしきると、肘を痛めてしまう場合があります。ケガをするとしばらく運動できなくなり、せっかく付いた筋肉がまた落ちてしまう可能性もあるので怪我をしないための意識が大切です。
具体的にはバーを押し出したときに肩甲骨がベンチから離れてしまう場合は腕を伸ばしすぎなので、肩甲骨をベンチから離さないように行いましょう。
ゆっくりバーを引き戻す
チェストプレスは、バーを押して持ち上げる動きと、バーを引いて元の位置に戻す動きに分けられます。どちらの動きも、トレーニングの効果を得るために重要です。
疲れてくるとマシンの反動を使ったり勢いをつけたりしたくなることもありますが、最後まで肩甲骨を意識してゆっくり行うようにしましょう。
肩をすくめない
チェストプレスで一番効果を出したい筋肉は大胸筋です。肩をすくめると大胸筋よりも三角筋などの肩関節周りの方に効果が出るため、肩回りが大きくなってしまい、理想の体形になりにくくなります。
また、肩回りの筋肉を傷めてしまう原因にもなるので、チェストプレスをするときには、胸を張って肩をすくめないよう気をつけましょう。
チェストプレスで理想の体形を手に入れよう!
チェストプレスで筋トレを行うと男性では胸板を厚くする効果、女性ではバストアップ効果が期待できます。
チェストプレスでは主に大胸筋と三角筋が鍛えることができ、どちらも上半身では比較的大きな筋肉です。大きな筋肉が鍛えられると、代謝が良くなりダイエットでの脂肪燃焼も助けてくれます。
また、チェストプレスなどの筋トレマシンを使うときには、自分に合った重量や回数で正しい姿勢で行うよう意識しましょう。
24/7Workoutでは、一人ひとりに合わせて理想の体型を目指すためのトレーニングを提案しています。ケガを予防しながら効果的に筋肉を鍛えたい場合は、ぜひ無料カウンセリングにお申込みください。
参照文献
※1 柴田 恵,辻井 洋一郎,河上 敬介,中村 美穂,安藤 玲子.三角筋の形態からみた肩関節運動の検討.https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/25/1/25_KJ00003130740/_pdf/-char/ja(2023年9月12日)
※2 JAPAN ARM WRESTLING ASSOCIATION.【マシンチェストプレスのやり方とコツ】大胸筋に効果的なジムマシン筋トレ.https://jawa-armwrestling.org/?p=22292#i-2(参照2023年9月12日)
<監修者プロフィール>
鈴木浩之
春日井市民病院 整形外科 部長。
1994年卒業後整形外科に入局。関連病院で研鑽を積み2012年から現職。
骨折などの手術を積極的に行っているが、最近ではロコモアドバイスドクターとして運動器の障害により移動機能が低下してしまうロコモティブシンドロームの啓蒙など健康寿命を延ばせるよう予防的医療にも取り組んでいる。