腸腰筋は上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉で、インナーマッスルの筋肉です。デスクワークや運転などで長時間座っていることが多い人は、特に鍛えておきたい筋肉のひとつです。
この記事では、腸腰筋とはどのような筋肉か解説しつつ、鍛えるメリットなどを紹介します。
腸腰筋を鍛えるおすすめのメニューや、より筋トレ効果を高めるポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
腸腰筋とはどこの筋肉?
腸腰筋は、腰椎から始まる大腰筋、骨盤上部から始まる腸骨筋の総称です。
背骨・腰骨の前側から骨盤の内側、太ももの付け根の内側につくインナーマッスルで、上半身と下半身をつないでいます。
腸腰筋は、階段の昇り降りや靴下を履くときなど足を上げるときに働く筋肉で、デスクワークの人や運動習慣がない人など、長時間座り続けた場合に凝り固まりやすくなります。
また骨盤の動きとも関係があり、良い姿勢を保ったり、自分の足で立ち歩いたりするために重要な筋肉でもあります。
腸腰筋が衰えた場合の影響
腸腰筋が衰えた場合に起こり得る影響について解説します。
腰痛を引き起こす
腸腰筋のなかでも、大腰筋が硬くなると、動きに制限がかかり姿勢を維持する力が弱くなります。そのため、腰に負担が生じやすく、腰痛の原因になります。
また、腸腰筋が弱くなり骨盤が後ろへ下がってしまうことも、腰痛の原因になります。
ぽっこりお腹の原因になる
腸腰筋が衰え骨盤を適切な位置で維持する力が弱まると、お腹周りの緊張が弱まり、ぽっこりお腹の原因になります。
転倒しやすくなる
腸腰筋が衰えると脚を上げる力が弱くなるため、つまずきやすくなったり転倒したりする危険性が高まります。
腸腰筋の衰えによる転倒は、高齢者が骨折する原因の1つでもあります。
腸腰筋のトレーニングを行うメリット
腸腰筋を鍛える主なメリットを紹介します。
骨盤の歪みが解消されて正しい姿勢を保てる
上半身と下半身を結んでいる腸腰筋を鍛えると、重心が安定し体の歪みも矯正され、正しい姿勢を保ちやすくなります。
正しい姿勢とは、首からお尻にかけて緩やかなS字カーブを描く姿勢で、理想の姿勢を維持するためにはインナーマッスルが重要です。
腰痛の改善が期待できる
腸腰筋を鍛えたりストレッチをしたりすることで姿勢が良くなると、骨盤と背骨の位置が正しい位置へと戻り腰への負担を減らせます。
また、骨盤と背骨の歪みも改善し筋肉の緊張状態が解け、腰痛の予防や改善につながります。
腸腰筋の鍛え方
腸腰筋は、日々のトレーニングで健康な状態を維持することができます。
次の項目では、立った姿勢、座った姿勢、寝た姿勢で行える腸腰筋の鍛え方を紹介します。
レッグレイズ(足上げ運動)
レッグレイズは、基本は器具やマシンがなくても行うことができ、難しい動作もないため、初心者でも行いやすいトレーニングメニューです。
<レッグレイズのやり方>
①仰向けに寝て、両脚をまっすぐ下に伸ばす
②両手を下腹部かおしりの下に置く
③お腹に力を入れながら、膝は軽く緩めた状態で両脚を上げる
④垂直になるまで上げ、ゆっくりと両脚を下ろす
腰は反らないように意識し、ゆっくりと反動使わないようにしましょう。また、背中を痛めないために、ヨガマットなどを敷くこともポイントです。
10回を1セットとした場合、3セットが目安です。
バイシルクランチ
バイシルクランチは腹筋トレーニングの一種で、脚を引き寄せながら状態をひねる動きをします。
<バイシルクランチのやり方>
①足を立てた状態で仰向けになり、太ももが床と90度になるように上げる
②体をひねり、対角線上の肘と膝を寄せる
③左右同じ数行う
動作はゆっくり行い、体がブレないようにします。頭と脚は床につかないように意識しましょう。
<h2>筋トレの効果を上げるためのポイント</h2>
筋トレの効果を上げるためのポイントを紹介します。
筋トレとあわせてストレッチを行う
筋肉や筋肉を取り巻く筋膜は、動きや運動後、姿勢の維持などにより縮むため、そのままにしておくと関節の動きが鈍ったり血流が悪化したりします。※1
筋肉痛や肩こりの原因にもなるため、運動後に筋肉を伸ばすためのストレッチを行うことで疲労が溜まりにくくなります。
ストレッチを行う際は、呼吸を止めないように意識し、ゆっくり10~20秒カウントします。声に出しながら行うと、呼吸が止まらずストレッチの効果も高まります。
筋トレ後に有酸素運動を行う
筋トレ後にウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を行うと、筋トレの効果や脂肪燃焼効果が高まります。
これには、有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)のエネルギー源の違いが関係しています。有酸素運動は糖質と脂質をエネルギー源とするのに対し、無酸素運動は糖質をエネルギー源とします。※2
そのため、先に無酸素運動である筋トレをして糖質を消費しておくことで、その後の有酸素運動で効率良く脂肪を燃焼することができるようになります。
大きい筋肉から鍛える
筋肉の量を効率的に増やすには、なるべく大きい筋肉から鍛えるのがポイントです。
大きい筋肉とは、大胸筋(胸)、広背筋(背中)、大腿四頭筋(脚)、腹直筋など(腹)を指し、これらを刺激することで効率的に筋肉量が増えるほか、効果を実感しやすくなります。
また、大きい筋肉を鍛えることで、その分の基礎代謝の向上も期待できるため、脂肪の燃焼を促し太りにくい体作りにも役立ちます。
たんぱく質を摂取する
筋トレの効果をより高めるには食事に目を向けることも大切です。特に、筋肉や皮膚など、体の構成要素として欠かせないたんぱく質の摂取が必要不可欠です。※3.4
一度に多くのたんぱく質を摂取しても吸収できる量は決まっているため、食事ごとにこまめに摂る必要があります。
トレーニングとあわせてたんぱく質を摂取すると、運動後のたんぱく質の合成が進みやすくなり、筋肥大と筋機能の改善につながります。主に豆・卵・肉・魚などの食品からタンパク質を摂取しましょう。
腸腰筋を鍛えて生活の質の向上ときれいな姿勢を目指そう
腸腰筋は、上半身と下半身をつなぐ筋肉で、体の軸を安定させる役割があります。
衰えると腰痛や転倒リスクの向上につながるほか猫背やぽっこりお腹の原因にもなるため、腸腰筋を鍛えることでそれらを解消し、きれいな姿勢の保持や内臓機能の向上に役立てましょう。
筋トレの効果を高めるには、ストレッチや有酸素運動を一緒に取り入れることや適切なトレーニング方法で行うこと、またたんぱく質の適切な摂取などの食事管理も重要です。
自分自身で行うのが不安な人は、専門のトレーナーが指導してくれるパーソナルジムに通うという選択肢もあります。
24/7Workoutは、理想の体へ最短でアプローチするために、完全オーダーメイドで指導を行うパーソナルジムです。3食しっかり食べる食事指導も行っています。
しっかりと食事をとりながらトレーニングを行いたい方は、ぜひ検討してください。
参照文献
※1 東京都保健医療局.習慣的に運動しよう. https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kensui/undou/undou.html (参照:2023年7月4日)
※2健康長寿ネット.トレーニング:無酸素運動とは. https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/musanso-undou.html (参照:2023年7月4日)
※3独立行政法人 農畜産業振興機構. 骨格筋量の維持・増加に向けたたんぱく質摂取の重要性. https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001867.html (参照:2023年7月4日)
※4 e-ヘルスネット.たんぱく質. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html (参照:2023年7月4日)
<監修者プロフィール>
高蓮浩
医学博士、日本大学医学部卒業、現在こがね町すこやかクリニック院長。
トレーニングを趣味とし、2018年オールジャパンメンズフィジーク大会出場、現在はクロスフィットによるトレーニングに励み、コーチ資格であるCF-LV1を取得、日常動作に基づいた運動処方を診療に取り込んでいる。