ココアがダイエットに効果的だと最近よく聞きます。しかし、本当にココアで体重が落ちるのか、疑問に感じる方もいるかもしれません。
ココアを使ったダイエットでは、とくにココアの種類に注意が必要です。
この記事では、ココアがダイエットに向いている理由や効果的な活用方法を解説します。
ココアがダイエットに向いている理由
ココアがダイエットに向いている理由を解説します。
コレステロール値にあまり影響しない
ココアにも脂肪酸は含まれているものの、コレステロール値にはあまり影響しないといわれています。
ココアに含まれる脂肪酸は、コレステロールを増大させる「パルミチン酸」、コレステロールに影響を及ぼさない「ステアリン酸」、コレステロールを低下させる「オレイン」の3つです。
それぞれの脂肪酸が3分の1ずつ含まれているため、コレステロール値にはあまり影響しないと考えられています。※1
抗酸化作用がある
ココアの原料であるカカオ豆には、ポリフェノールが含まれており、カカオポリフェノールと呼ばれています。
カカオポリフェノールにはカテキン、プロシアニジンなどの抗酸化物質が含まれており、老化や動脈硬化などの生活習慣病の原因につながる活性酸素を消す働きがあります。※2
また、カカオに含まれるエピカテキン、ケルセチンなどの抗酸化物質はLDL(悪玉)コレステロールの酸化変性を防ぐ作用があります。
肥満の人は酸化したLDL(悪玉)コレステロールが高いという研究もあるため、動脈硬化などの生活習慣病の予防にもつながるでしょう。※3
便秘を解消してくれる
ココアには、食物繊維が含まれており便秘を解消する効果も期待できます。
また肥満は、腸内細菌に左右されると研究で示されており、肥満の場合は腸内細菌叢(腸内フローラ)に偏りがあることも分かっています。※4
腸内フローラには悪玉菌と善玉菌があり、善玉菌を増やすには食物繊維の摂取が効果的とされています。※5
精神をリラックスさせてくれる
ココアには、精神をリラックスさせる作用を持つテオブロミンが含まれています。
良質な睡眠には、就寝前に精神をリラックスさせることが大切です。睡眠不足になると食欲を抑えるホルモンのレプチンが減少し、反対に食欲を高めるホルモンのグレリンが分泌されるため、食欲が増しやすくなります。※6
ホルモンバランスを整え、良質な睡眠をとることは肥満予防にもつながるでしょう。
ココアに含まれるカロリー・栄養素
ココアに含まれる、カロリーや栄養素について解説します。
原材料がココアパウダーのみの純ココアの場合、カロリーは1杯(5g)につき約20kcalです。砂糖やクリーミングパウダーなどが入っているミルクココアは1杯(20g)あたり約80kicalです。
ココアでダイエットを考えている場合は、純ココアを選択すると良いでしょう。
パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸
先述したようにココアには、脂肪酸であるパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸が3分の1ずつ含まれています。
パルミチン酸はコレステロールを増大させますが、ステアリン酸はコレステロールには影響を及ぼさない脂肪酸です。また、オレイン酸はコレステロールを低下させる作用があります。
そのためココアの原料であるカカオ豆は、エネルギー源になってもコレステロールの上昇にはさほど影響がないといわれています。※1
抗酸化物質
カカオには、エピカテキン、ケルセチンなどの抗酸化物質が含まれています。抗酸化物質は、LDL(低比重リポたんぱく)の酸化変性を防ぎます。
LDLは酸化変性すると、健康な血管が本来持っている血管拡張作用を損ない、動脈硬化などの要因となるため、抗酸化物質などでLDLを酸化変性させないようにすることが大切です。※7
また、LDLの中心にはコレステロールエステルと中性脂肪が、外側にはリン脂質などが存在します。これらの脂質には酸化されやすい不飽和脂肪酸が含まれているため、摂り過ぎには注意が必要です。
食物繊維
食物繊維には不溶性と水溶性の2つがあり、ココアに含まれる食物繊維のほとんどは不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維の効果としては、便秘解消、大腸がんの予防などが挙げられます。
テオブロミン
テオブロミンは、カフェインと同じ構造をしていますが、興奮作用がカフェイン程強くありません。
そのため、精神のリラックスや集中力を促進させる働きをもっています。※1
ポリフェノール
ココアの原料であるカカオに含まれるポリフェノールは、肥満や脂肪の蓄積を抑制する働きがあると研究で示されています。※2
またポリフェノールには悪玉コレステロール(LDL)の酸化を抑える働きがあり、動脈硬化の予防にも期待できます。
ココアと合わせると効果的な食材
ココアと合わせると効果的な食材を解説します。
ヨーグルト
ココアの食物繊維とヨーグルトの乳酸菌を組み合わせると、シンバイオティクスで腸内環境がより効果的に整います。シンバイオティクスとは、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたものです。
プロバイオティクスは腸内菌叢バランスの改善などによって、腸内環境を整える働きがあり、腸内有用菌の増殖を促進し、有害菌の増殖を抑制することで腸内環境を整えていきます。
ココアとヨーグルトの組み合わせの場合、ココアの食物繊維がプレバイオティクス、ヨーグルトの乳酸菌がプロバイオティクスの働きをします。
そのため、ココアとヨーグルトを組み合わせて摂取すると、より効果的に腸内環境が整えられることが期待できます。
マシュマロ
ココアにはマシュマロを入れるのもおすすめです。マシュマロ自体が甘いため、純ココアが飲みづらい場合に入れると良いでしょう。
マシュマロのカロリーは、1個(4.5g)当たり約15kcalです。摂りすぎに注意は必要ですが、脂質がないためココアに2~3個入れる程度なら問題ありません。
ココアをダイエットに取り入れる際の飲み方
ココアをダイエットに取り入れる際の飲み方を解説します。
飲み方によっては、なかなか痩せられないほか、体調を崩してしまう可能性もあるため、注意しましょう。
純ココアを選んで飲む
市販のミルクココアには、砂糖が大量に含まれています。ダイエット中は砂糖を含まない純ココアを選ぶようにしましょう。
牛乳なども脂肪分が多いため、極力入れないほうがダイエットにはおすすめです。
純ココアだと苦くて飲めない場合は、マシュマロやはちみつを入れると飲みやすくなるでしょう。
一度にたくさん飲まない
ポリフェノールは身体に良いとよく聞きますが、健康のためにどれだけの量を飲めば良いのかという明確な量は分かっていません。そのため、ダイエットに効果があるといっても、1度にたくさんの量を飲まないようにしましょう。
また、飲み過ぎによりカフェイン中毒を起こす可能性もあるため、1日2杯以上を立て続けに飲むことも避けましょう。
さらに人によってはココアに含まれる不溶性食物繊維によって、腹痛や下痢が引き起こされる場合もあるため注意が必要です。
ココアを取り入れて楽しくダイエットをしよう
ココアダイエットは、正しい方法で行えば効果的に行うことができます。ただし、ダイエットの基本は食事と運動です。ココアを使うだけでは、なかなかダイエット効果は得られにくいこともあるため、飲み方を工夫しましょう。
24/7Workoutでは、個別に食事のアドバイスや運動のメニューを提案しています。本格的にダイエットをはじめたい方は、ぜひ無料カウンセリングをお試しください。
参照文献
※1健康・栄養フォーラム.チョコレート、カカオの栄養価.https://www.nibiohn.go.jp/eiken/hn/modules/pico/index.phpcontent_id=37&page=print.html(参照2023年9月9日)
※2山下 陽子, 芦田 均.カカオポリフェノールのメタボリックシンドローム予防効果https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/17/10/17_467/_pdf/-char/ja(参照2023年9月9日)
※3齋藤 康.肥満と高脂血症.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhep2002/30/1/30_1_76/_pdf(参照2023年9月9日)
※4内藤 裕二, 髙木 智久, 井上 亮.肥満と腸内細菌:腸内環境からみた下部消化管疾患.https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/118/6/118_525/_pdf(参照2023年9月9日)
※5e-ヘルスネット.腸内細菌と健康. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html(参照2023年9月9日)
※6e-ヘルスネット.睡眠と生活習慣病との深い関係.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html(参照2023年9月9日)
※7e-ヘルスネット.酸化LDL.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-028.html(参照2023年9月9日)
<監修者プロフィール>
森川高司
奈良県立医科大学卒業、奈良県立医科大学付属病院で臨床研修医(第2内科)。
その後、吉野病院、田北病院内科医長、向山病院副院長などを経て、
尼崎市 塚口の地に医療法人煌仁会森川内科クリニックを設立。
現在、産業医や校医も務める。