「水泳の消費カロリーが知りたい」「ほかの運動と比べてダイエットに効果はある?」など疑問に思っている方もいるでしょう。
水泳の消費カロリーや泳ぎ方によりますが、いずれも「METs(メッツ)」と呼ばれる式を用いて計算できます。
この記事では、水泳がダイエットに効果的な理由や消費カロリーなどを解説するので参考にしてください。
水泳がダイエットに効果的な理由
水泳は陸上で行う運動に比べて消費カロリーが高いです。そのため、同じ運動時間でもランニングやウォーキングよりもカロリーを消費できるので、ダイエットに適しています。
また、水の抵抗は空気に比べて12倍もあるので、ほかの運動ではほとんど使わない筋肉も水中では比較的大きく可動し、普段使わない筋肉も鍛えられます。筋肉量が増えると基礎代謝もアップするので、太りにくい身体を目指せます。
加えて、水中は陸に比べて27倍のスピードで体温を奪っていきますが、これを防ぐために体は熱を発生させてエネルギーを消費します。
さらに、水中は常に浮力があるので、体重の重たい人や体に不調がある人でも取り組みやすいです。具体的には、肩まで浸かると体重は10%ほどにまで減少するといわれています。
例えば、体重が70kgの人が水に肩まで浸かれば、浮力により体重が7kgにまで減少。関節にかかる負担を大幅に軽減できるので、水泳は関節(腰、膝)に痛みを抱えている人でも老若男女を問わずできます。※1
水泳ダイエットについてより詳しく知りたい方は別記事「水泳ダイエット」を合わせてお読みください。
水泳の消費カロリー計算方法
水泳の消費カロリーを計算するには「METs(メッツ)」と呼ばれる方式を使います。METs(メッツ)とは、安静時を1MEtsとして、何倍のカロリーを消費するかの指標です。計算するには以下の式を使います。
体重×METs ×時間 ×1.05
例えば、体重60kgの人が30分、クロール(8.3METs)を実施した際の消費カロリーは以下のとおりです。
60×8.3×0.5×1.05=261.45kcal
この計算式に自身の状況を当てはめれば、運動による消費カロリーを簡単に導き出せます。運動による消費カロリーを知りたいときはMETs(メッツ)を使うのがおすすめです。
水泳とその他運動の消費カロリーを比較
以下の運動と水泳の消費カロリーを比較して解説します。
※すべて、運動時間1時間、体重60kgの場合
- ランニング
- ウォーキング
- サイクリング
上記の運動もダイエットに効果的ですが、水泳の消費カロリーには及びません。水泳とほかの運動の消費カロリーの違いをおさえれば、水泳がダイエットに適した運動であることが理解しやすいです。
ランニング
手軽な運動としてランニングは幅広い年代に人気があります。靴を履いて玄関を出るだけなので比較的取り組みやすいです。以下の表に、ランニングと水泳の消費カロリーの違いを抜粋してまとめているので参考にしてください。
ランニング | 441 kcal |
バタフライ | 869 kcal |
クロール | 523 kcal |
平泳ぎ | 334 kcal |
背泳ぎ | 302 kcal |
水中ウォーキング | 284 kcal |
出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」をもとに計算
ランニングをする際は、モチベーションを維持するために、普段は通らないコースを走るのも良いでしょう。
ウォーキング
運動初心者にもおすすめのウォーキング。陸で行う運動のなかでは比較的、体への負担が少ないです。以下の表に、ウォーキングと水泳の消費カロリーの違いを抜粋したものをまとめているので参考にしてください。
ウォーキング | 271 kcal |
バタフライ | 869 kcal |
クロール | 523 kcal |
平泳ぎ | 334 kcal |
背泳ぎ | 302 kcal |
水中ウォーキング | 284 kcal |
出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」をもとに計算
ウォーキングは進むスピードが遅く、景色が変わるのに時間がかかるので飽きてしまう方もいるかもしれません。一緒に運動するパートナーを見つけたりどのくらい歩いたかを記録したりするなど、工夫することで楽しく取り組める可能性が高まります。
サイクリング
景色を楽しみながら運動に取り組みたい人は、サイクリングがピッタリです。ランニングよりもスピードが出るので、さまざまな景色を楽しめます。また、自然豊かな場所で運動すれば、リラックス効果も期待できます。
実際、自然を感じられる環境で20~30分ほど過ごすと「コルチゾール」と呼ばれるストレスホルモンが減少することがわかっています。※2以下の表に、サイクリングと水泳の消費カロリーの違いを抜粋したものをまとめているので参考にしてください。
サイクリング | 473 kcal |
バタフライ | 869 kcal |
クロール | 523 kcal |
平泳ぎ | 334 kcal |
背泳ぎ | 302 kcal |
水中ウォーキング | 284 kcal |
出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」をもとに計算
サイクリングはランニングやウォーキングなどと比べて移動スピードが速いので、安全に配慮し、見渡しのよい場所で行うのがおすすめです。
【消費カロリー高い順】水泳ダイエットにおすすめの泳ぎ方
ここからは、消費カロリーが高い順に、ダイエットにおすすめの泳ぎ方を解説します。
バタフライ(13.8METs)
バタフライの運動強度は13.8METsです。
体のうねりを利用して泳ぐ方法で、水泳のなかでは最もカロリー消費が多いといえます。
バタフライはMETsだけを見ればダイエットに適した運動ですが、体への負荷が強くて継続して行うのが困難です。また、運動初心者にはあまりおすすめしません。
運動に慣れてくれば、バタフライに取り組んでみてはいかがでしょうか。
クロール(8.3METs)
クロールの運動強度は8.3METsです。
動作が比較的シンプルなので取り組みやすく、初心者の方も比較的挑戦しやすいでしょう。
手と足の動きに呼吸を合わせながらバタ足で進むクロールは、ポイントをおさえることで、長く泳ぎ続けることが可能です。
平泳ぎ(5.3METs)
平泳ぎの運動強度は5.3METsです。
両手足を一緒のタイミングで動かすので、泳ぐ際のリズムが掴みやすく、スタミナを温存して泳ぐことに長けています。
また、泳法の中では体への負担が多くないので泳ぎに慣れたい方にもおすすめです。
背泳ぎ(4.8METs)
背泳ぎの運動強度は4.8METsです。
背泳ぎは、体の向きがクロールの逆バージョンの泳法です。顔を水につける必要がないので、息継ぎが苦手な方にもおすすめです。
水中ウォーキング(4.5METs)
水中ウォーキングの運動強度は4.8METsです。
プールでできる手軽な運動といえば、水中ウォーキングと考える方も多いかもしれません。普段、無意識で行っている歩く動作を、水中でするだけなので専門的な知識がなくても取り組めます。
また、泳ぎが得意な方も、休憩として水中ウォーキングするのも良いでしょう。
水泳ダイエットの注意点
水泳ダイエットの注意点は以下の3つです。
- 水泳前はストレッチを行う
- バランスのいい食生活を心がける
- 無理のないペースで継続する
それぞれ解説します。
水泳前はストレッチを行う
水泳前にストレッチを行うことで、怪我の予防や運動の効果を高められます。
以下におすすめのストレッチのやり方を解説しているので水泳前に取り入れてみてください。
- 膝の角度が90度くらいになるほど右足を大きく前に出す
- 右手を右足の太ももの下を潜らせて地面に手をつく
- 2の姿勢をキープしたまま体を前後に揺さぶる(5往復)
- 2の姿勢をキープしたままお尻を左右に揺さぶる(5往復)
- 反対の足も同様に行う
ストレッチは退屈と感じる方もいるかもしれませんが、怪我予防のために運動前に実施しましょう。
バランスのいい食生活を心がける
バランスのいい食生活を心がけることはダイエット中も大切です。
例えば、筋肉を成長させるうえで欠かせないタンパク質が不足している場合、筋肉が減少する可能性があります。筋肉は基礎代謝に大きく関係しているので、減少するとダイエット効果が弱まります。※3
そのため、以下の3大栄養素の割合を目安に、食事をとりましょう。※4
- 炭水化物50~65%
- タンパク質13~20%
- 脂質20~30%
無理のないペースで継続する
いきなり無理をすると、オーバートレーニング症候群になってしまう恐れがあります。オーバートレーニング症候群とは、体が回復していない状態で運動することにより発症する慢性的疲労のことです。※5
また、無理をすることによるデメリットは物理的なものだけではありません。いきなり無理をし過ぎてしまうことで生じる「バーンアウトシンドローム」もあります。※6バーンアウトシンドロームとは、心身の疲労が原因で特定の物事に対する意欲がなくなってしまう現象のことです。
健康的にダイエットするためにも、水泳は無理のないペースで継続しましょう。
水泳で無理なくカロリーを消費して理想の体型を目指そう!
水泳はカロリー消費が多いのでダイエットにおすすめです。泳ぎ方にもよりますが、ランニングやサイクリングなどより消費カロリーが高いです。
ただし、無理のないペースでの継続などを心がけましょう。効率的に痩せたい・理想の体型を目指したい方は「24/7Workout」がおすすめです。
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参照文献
※1一般財団法人 熊本県スポーツ振興事業団.『水の4大特性』について.https://www.kspa.or.jp/archives/s3/18313/(参照2023年10月1日)
※2環境省.データで見る国立公園の健康効果とは?.https://www.env.go.jp/nature/nationalparks/pick-up/health/(参照2023年10月1日)
※3e-ヘルスネット.身体活動とエネルギー代謝.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-003.html(参照2023年10月1日)
※4農林水産省.ちょうどよいバランスの食生活.https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wakaisedai/attach/pdf/balance-8.pdf(参照2023年10月1日)
※5 e-ヘルスネット.オーバートレーニング症候群.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-016.html(参照2023年10月1日)
※6 e-ヘルスネット.バーンアウトシンドローム.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-047.html(参照2023年10月1日)
<監修者プロフィール>
齋藤幹
医学博士、内科認定医、総合内科専門医、循環器専門医・指導医、臨床研修指導医。
1996年北海道大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院にて内科研修。
その後東京大学医学部付属病院(循環器内科)や専門病院での経験を経て、2019年に「さいとう内科・循環器クリニック」を開業。