日々の食事の摂取カロリーと消費カロリーを管理すると、効率良く痩せやすい体質を作れます。しかし、食事量を減らしてもダイエットが成功するとは限りません。適正カロリー量やカロリーの減らし方など、気になっている方も多いでしょう。
この記事では、ダイエットと摂取カロリーの関係、摂取カロリーを計算する方法、カロリーを抑えてダイエットを成功させるポイントなどを詳しく紹介します。
ダイエットと摂取カロリーの関係
太ったり痩せたりすることは、食事などから摂取するカロリーと活動するために消費されるカロリーが関係しています。食事からの摂取カロリーが消費カロリーを上回れば、体重増加や肥満の原因になるでしょう。
しかし、極端な食事制限など、摂取カロリーを減らしすぎるダイエットには、さまざまな弊害があります。摂取カロリーと消費カロリーのバランスを考慮したうえでダイエットに取り組みましょう。
過度なカロリー制限は健康を損なう恐れがある
摂取カロリーを過度に制限すると、一時的に体重を減らせても、健康に害を及ぼす恐れがあります。例えば、特定の食品のみを食べるダイエットは、生きるうえで必要な栄養の不足や栄養の偏りが起こるでしょう。栄養バランスが崩れると、便秘や骨粗鬆症、貧血、月経異常など、健康を損なう可能性があるため注意が必要です。
また、栄養の偏りにより血中の糖分が不足したりミネラルバランスが崩れたりすると、脳や心臓の働きが低下するなど、生命活動そのものに影響を及ぼすリスクも考えられます。
カロリーを控えすぎるとかえって太りやすくなる
ダイエット中だからといって食事を控えすぎると、身体が飢餓状態にあると脳が認識します。すると、身体の防衛本能(ホメオスタシス)によって、エネルギーの消費が減り脂肪を溜め込もうとします。
防衛本能(ホメオスタシス)とは、人が生きるのに必要な体温調節や免疫機能などを正常に保とうとする働きです。エネルギー代謝に関わるため、ダイエット中の身体にも影響しやすいでしょう。
また、カロリー制限で注意したいことが筋肉量の低下です。肉類などを減らしすぎてたんぱく質が不足すると、筋肉量が減ります。その結果、基礎代謝が落ち、脂肪が燃えにくく太りやすい身体に変わってしまいます。
1日に必要な摂取カロリーの計算方法
消費カロリーより減らすと痩せられるものの、摂取カロリーの減らしすぎは良くありません。1日に必要な摂取カロリーを計算し確認しましょう。一般成人(妊婦や授乳婦を除く)に必要な1日あたりの摂取カロリーは、次の計算式で求められます。
1日に必要なカロリー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×標準体重(Kg)×身体活動レベル
体重が重い人と軽い人とでは、重い人のほうが消費カロリーを必要とするため、計算式では標準体重も必要とされます。
下記の参照体重を利用する方法のほか、日本医師会が理想値とするBMI22をもとに「身長(m)×身長(m)×22」で標準体重(Kg)を算出することも可能です。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
年齢(歳) | 基礎代謝基準値(kcal/Kg/日) | 参照体重(Kg) | 基礎代謝量(kcal/日) | 基礎代謝基準値(kcal/Kg/日) | 参照体重(Kg) | 基礎代謝量(kcal/日) |
18~29歳 | 24.0 | 63.2 | 1,520 | 22.1 | 50.0 | 1,110 |
30~49歳 | 22.3 | 68.5 | 1,530 | 21.7 | 53.1 | 1,150 |
50~69歳 | 21.5 | 65.3 | 1,400 | 20.7 | 53.0 | 1,100 |
70歳~ | 21.5 | 60.0 | 1,290 | 20.7 | 49.5 | 1,020 |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(一部抜粋)※1
また、同じ基礎代謝量の人でも、1日の活動量が違えば必要なカロリーは変わります。そこで参考とされるのが下記のような身体活動レベルです。
身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い |
1.5 | 1.75 | 2.0 | |
日常生活の内容 | 生活の大半を座った姿勢で過ごしていて、大きく身体を動かす機会の少ない生活 | 大半を座った姿勢で過ごしているが、通勤や立ち仕事、歩行による移動、軽い運動などを日常的に行っている | 移動や立ち仕事が多い、あるいはスポーツなどで積極的に運動する習慣がある |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」※1
身体活動レベルが「普通」で、ダイエットの目標体重が65Kgの22歳男性を例として、1日に必要とされるカロリー量の目安を計算します。
22歳男性の基礎代謝基準値は24.0(kcal/Kg/日)のため、1日の基礎代謝量は「65(Kg)×24.0(kcal/Kg/日)=1,560(kcal/日)」となります。この基礎代謝量1,560kcalに、身体活動レベル「普通」の1.75を乗じると、1日あたりに必要な摂取カロリーは2,730kcalとなります。
ダイエット中の1日や1食の摂取カロリー目安
ダイエットで体重を減らしたいなら、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが重要です。バランスの良い食事をしながら、適切な摂取カロリーを保つためにも、先ほどの計算式を参考に目安となる1日あたりの摂取カロリーを把握しておくと役立ちます。
例えば、18~29歳女性の場合、厚生労働省の表をもとにした1日あたりの摂取カロリー必要量は1,700〜2,300kcalとなっており、1食あたりに換算すると600~700kcalが目安です。※1 この数値を参考にしながら、自分に合った健康的なダイエット目標を定めましょう。
厚生労働省のデータによると、日本人の実態に合った理想的なBMIの目安は、次のようになっています。
年齢(歳) | 目標とする BMI(kg/㎡) |
18〜49 | 18.5〜24.9 |
50〜64 | 20.0〜24.9 |
65~74 | 21.5〜24.9 |
75〜 | 21.5〜24.9 |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(一部抜粋)※1
BMIは増えすぎると肥満のリスク、減りすぎると健康を害するリスクを生じやすいと指摘されています。ダイエットの目標を立てるなら、摂取カロリーのほか、適正なBMI範囲を意識しておくと健康リスクを減らせるでしょう。
ダイエットで1日や1食あたりのカロリーを制限する方法
ダイエット中、思うようにカロリー制限できず、苦労する人もいるかもしれません。しかし、大きく食事量を減らさなくても、少しの工夫で1日や1食あたりのカロリーを抑える方法もあります。
栄養をバランス良く摂る
栄養バランスの良い食事をしていれば、結果としてカロリーオーバーを防げます。カロリーの値だけでなく、1日の摂取カロリーの中で、栄養をきちんと摂取できているかどうか考えましょう。
身体に必要な栄養は大きく3つに分かれます。いずれも美しい身体作りに欠かせない栄養素なので、バランス良く摂取するように心がけましょう。
身体を作る栄養 | 筋肉や髪や爪などを作るタンパク質、骨や歯を作るミネラル、細胞膜などを作る脂質 |
身体を整える栄養 | 体温調整や神経、代謝など人体の働きに関わるビタミンとミネラル(一部を除いては体内で作られない) |
エネルギーになる栄養 | 日々の活動を支えるエネルギーとなる糖質(炭水化物)と脂質 |
これらの栄養素でダイエット中に制限されやすいのが、糖質と脂質でしょう。しかし、糖質の摂取量が足りないと、エネルギー源として糖質の代わりにタンパク質が使われてしまい、タンパク質不足になる恐れがあります。
タンパク質はダイエットをする日本人に不足しやすい栄養素とされています。筋肉量の減少につながらないように、肉や魚、豆などからタンパク質を積極的に摂りましょう。
食事は野菜から食べ始める
食事のときに食べる順番を意識するだけでも、カロリーコントロールにつながります。
例えば、ひと口目は野菜から食べることで血糖値の上昇が抑えられ、糖の吸収が穏やかになります。生活習慣病の予防にもなり、健康的なダイエットを実現したい人にぴったりです。さらに、食物繊維が豊富なため満腹感を得やすくなり、食べ過ぎを防げます。
また、野菜とともに、きのこ類や海藻類を一緒に摂るのも効果的です。野菜などの食物繊維が腸を刺激すると、便秘の予防にも役立ちます。
高カロリーで栄養の少ない食べ物を減らす
1日や1食あたりのカロリーを減らして健康的にダイエットしたいなら、栄養が少なく高カロリーな食べ物を選ばないことが大切です。1日や1食あたりの摂取カロリーを守りながら高カロリーなものを食べると、食べる量が少なくなり、食事への満足度が下がる可能性も考えられます。
脂質の多い食べ物はその代表です。脂質は大切な栄養のひとつですが、タンパク質や炭水化物に比べると同じ量でもカロリーは2倍以上になります。ノンオイルドレッシングを選ぶなど、できる範囲で脂質をカットしましょう。
空腹を満たすための適度な間食は、ダイエット中でもやめる必要はありません。しかし、甘い飲み物やアルコール飲料、スナック菓子などは、少量でもカロリーオーバーにつながります。
ほかにも、食事そのものは問題がなくても、遅い時間に食事をするとカロリーを消費しきれず、脂肪が身体に蓄積しやすくなる恐れもあります。規則正しい食生活を送るように気をつけましょう。
ダイエットを成功させるためのポイント
カロリーを上手にコントロールしながら、ダイエットを成功させるポイントを解説します。
朝食を抜かない
3食しっかり食べずに1食抜くと、ダイエットに成功するどころか、かえって太りやすくなる恐れがあります。空腹による飢餓状態で身体が脂肪を貯めこみ、エネルギーとして筋肉が使われるためです。
朝食を抜いた場合、夜ごはんからの空腹時間が長くなり基礎代謝が低下することから、脂肪が燃焼しにくく痩せにくい身体になります。また、朝食を食べないと、その分タンパク質の摂取量も少なくなるため、筋肉を作る材料も足りなくなります。
ダイエットを成功させたいなら、朝食を含めて3食しっかり食べて代謝を上げましょう。脂肪の燃焼しやすい身体作りを実現できます。
間食をするならカロリーや栄養を考える
ダイエット中の間食は、気分転換やストレス解消にも役立ちます。ただし、食べ過ぎるとカロリーオーバーにつながるので、カロリーや栄養を考えて間食するものを決めましょう。
1日あたりの摂取カロリーは一人ひとり異なりますが、間食のカロリーは1日200kcalが目安です。間食を考えるときは、 1日の摂取カロリーを超えないように注意してください。
ダイエット中に不足しやすい栄養を補う食べ物や飲み物を選ぶと、ダイエットに効果的です。カルシウムを補うヨーグルト、ビタミン豊富なフルーツがおすすめです。
野菜ジュースは栄養豊富な間食として人気がありますが、糖質が意外とたくさん入っています。飲みすぎには注意しましょう。
食事制限に運動を組み合わせる
食事制限をすれば摂取カロリーが下がるため、消費カロリーを下回れば体重は減ります。しかし、食事だけに頼ったダイエットだと、なかなか体重が減らないこともあるでしょう。
効率良くダイエットを進めるには、食事制限で摂取カロリーを減らすだけではなく、運動して消費エネルギーを増やすのがおすすめです。運動は筋力アップにもつながるため、痩せやすい身体作りやリバウンド防止にもなります。
消費カロリーを増やしたいなら、有酸素運動が有効です。有酸素運動は脂肪をエネルギーに変えてくれます。できるだけ長い時間継続できるもので、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などがあります。
パーソナルジムに通う
摂取カロリーと栄養バランスを考えた食事と適度な運動で、効率的にダイエットしたいと思っても、実践することが難しい場合もあるでしょう。ダイエットに限界を感じたら、パーソナルジムで知識・経験の豊富なパーソナルトレーナーから指導を受けることがおすすめです。
パーソナルトレーナーは、一人ひとりの体質や状態に合わせた食事を提案してくれます。ひとりだとつらくなりやすい食事制限も、トレーナーとの二人三脚なら乗り越えやすいでしょう。
また、パーソナルジムで培った経験は、ダイエットの目標を達成したあともリバウンドせずに、理想の身体をキープするのに役立ちます。
1日や1食の摂取カロリーを抑えてダイエットを行おう
ダイエットを成功させたいなら、摂取カロリーが消費カロリーを下回ることが大切です。目標となる体重から必要な摂取カロリーを割り出し、1日あたり・1食あたりのカロリーを把握しておくと良いでしょう。
食事制限と運動を組み合わせて、効率良くカロリーコントロールすると、ダイエットの目標を達成しやすくなります。
現在のダイエットに限界を感じたら、24/7Workoutで専門的な知識や経験を持つパーソナルトレーナーから指導を受けてはいかがでしょうか。食事内容から運動メニューまで、幅広いサポートが可能なため、お客様の目標達成まで寄り添います。
※1 厚生労働省.「日本人の食事摂取基準」(2020年版).
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586556.pdf(参照 2023年9月12日)
<監修者プロフィール>
森川髙司
奈良県立医科大学卒業、奈良県立医科大学付属病院で臨床研修医(第2内科)。
その後、吉野病院、田北病院内科医長、向山病院副院長などを経て、
尼崎市 塚口の地に医療法人煌仁会森川内科クリニックを設立。
現在、産業医や校医も務める。