ダイエットをしている方のなかには、お酒を飲んでも良いのか迷っている方もいるでしょう。理想論では、ダイエット中はお酒を飲まないほうが良いといえます。
しかしストレスが溜まり、ダイエットを続けられなくなるなら、お酒を飲まないことが必ずしも正しいとはいい切れません。お酒と上手く付き合い、ストレスを溜めずにダイエットするのがもっとも良い方法です。
この記事では、ダイエット中にお酒を飲まないほうが良い理由と、ダイエット中におすすめのお酒、避けたほうが良いお酒、そしてダイエット中にお酒を飲むときに気をつけるべきポイントを紹介します。
ダイエット中にお酒を飲まないほうが良い理由
ダイエット中にお酒を飲まないほうが良いのは、お酒を飲むと太りやすいためです。お酒が太りやすい理由には、主に次の3つがあります。
- アルコールは1gにつき7kcalの高エネルギー物質
- お酒を飲むと食欲が増す
- お酒を飲むと脂肪が分解されにくくなる
それぞれの理由を詳しく解説します。
アルコールは1gにつき7kcalの高エネルギー物質
実はアルコールは、1gにつき7kcalの高エネルギー物質です。※1さらにアルコールのカロリーは身体に蓄えられないので、「エンプティカロリー」つまり、空のカロリーと呼ばれます。※2 体内に入ると、優先的に消費されるのが特徴です。
アルコールによるカロリーの摂取の問題は、栄養素を摂取できない点にあります。例えば500mlのビールのカロリーは、アルコールのカロリー140kcalと原料のカロリーの38kcalを足した178kcalです。同じカロリーのご飯を食べれば、炭水化物やタンパク質、亜鉛、鉄分が摂取可能ですが、アルコールを摂取した場合には栄養がほとんど摂取できません。
お酒を飲むと食欲が増す
ダイエット中にお酒を飲まないほうが良い理由は、お酒を飲むと食欲が増すためです。アルコールには、食欲を増進させる作用があるといわれています。またつまみには、肥満や高血圧の原因になりやすい、塩分や脂質が高いものが多いので注意が必要です。
さらにアルコールを肝臓で分解する際には、大量のブドウ糖を使います。大量のブドウ糖が使われると血糖値が下がり糖質を摂りたくなるため、酒を飲んだ後は満腹にも関わらずラーメンやご飯、甘い物を食べたくなる傾向があります。
お酒を飲むと脂肪が分解されにくくなる
お酒を飲むと、普段よりも脂肪が分解されにくくなります。エンプティカロリーと呼ばれるアルコールのカロリーは、身体のなかで優先的に消費されるのが特徴です。アルコールが代謝されている間は、ほかの栄養素は使われずに蓄積され、脂肪となります。※3
つまりお酒のカロリーは脂肪にならないものの、お酒に入っている糖質やつまみとして食べたもののカロリーが消費されず身体に蓄積されると考えましょう。脂肪は内臓にも蓄積され、さまざまな病気の原因につながります。
肝臓に脂肪が溜まる「脂肪肝」になり、肝臓の貯蔵機能が低下すると、満腹感を感じず過食になる傾向があるのも重大なポイントです。
ダイエット中におすすめのお酒
ダイエット中でも、お酒を飲みたくなるときはあるでしょう。そのようなときのために、比較的ダイエット中にもおすすめできるお酒を紹介します。
ダイエット中には、糖質やカロリーが低い以下のような蒸留酒がおすすめです。
- ジン・ウォッカ
- 焼酎
- ウイスキー
それぞれのお酒を詳しく紹介します。
ジン・ウォッカ
ジン・ウォッカとは、穀物を原料とした蒸留酒です。ジンは苦味や香りがあり、ウォッカはクセがなく、すっきりとした味わいが特徴です。
ジン・ウォッカには、甘味やフルーツ味を加えて飲みやすくしたものもありますが、糖質やカロリーが高いので注意しましょう。
飲み方は、ロックやストレート、炭酸割りがおすすめです。度数が強いので、飲み過ぎないようにしましょう。
焼酎
焼酎も蒸留酒に分類され、糖質が入っていないため、ダイエットに適しています。焼酎は100mlで146kcalと比較的高カロリーです。アルコール度数の高いお酒は、アルコール自体のカロリーが高いため必然的に高カロリーになります。
しかしアルコール度数の高いお酒は少量しか飲めないため、アルコール度数の低いお酒と比べてもそれほどカロリーが高いわけではありません。焼酎はプリン体も入っていないため、尿酸値を気にしている方にもおすすめです。
甘いジュースで割らずに、ロックまたは、水や炭酸、お茶割りにして飲みましょう。
ウイスキー
ウイスキーも蒸留酒のひとつで、ダイエット向きのお酒です。世界中で人気があり愛好家も多く、独特の香りや味わいがあります。ウイスキーは、100mlで237kcalと比較的高カロリーですが、アルコール度数が高いため実際に飲む量は少なく、糖質も入っていません。
ダイエット向きの飲み方は、ロック、水割り、ハイボールです。
ダイエット中は避けたほうがよいお酒
カロリーや糖質が高く、ダイエット中は避けたほうがよいお酒は以下です。
- ビール
- 日本酒
- 甘いカクテル
それぞれのお酒の特徴を紹介します。
ビール
ビールには糖質が含まれているため、お酒のなかでも比較的太りやすい種類です。喉越しが良く飲みやすいため、たくさん飲んでしまいやすいのもダイエット向きでないといわれるひとつの要因でしょう。
缶ビール1缶(350ml)は140kcalで、ご飯一杯分に相当します。ほかのお酒と比べて突出してカロリーや糖質が高いわけでもないため、ビール好きな方はまったく飲まないのではなく、量を少なめにするのが良いでしょう。
またビールはプリン体が多く含まれているので、尿酸値が気になる方には適していません。※4 尿酸値が高めの場合は、プリン体がカットされたビールを選びましょう。
日本酒
日本酒は糖質・カロリーが高いので、比較的太りやすいです。日本酒のカロリーは、100mlで109kcal、1合(180ml)だと196kcalです。
しかし日本酒は、日本食との相性が良いため、さしみや焼き魚、冷ややっこといった低カロリーの日本食と合わせて飲めます。日本酒は少しずつ飲むお酒のため、飲酒量が増えにくいのもポイントでしょう。
熱燗にすると、さらに飲むペースがゆっくりになります。ダイエット中は日本酒を避けるのではなく、量に気をつけるのが良い飲み方でしょう。
甘いカクテル
ダイエット中は、甘いカクテルは避けるべきでしょう。甘いリキュール系のお酒や梅酒は、糖質やカロリーも高い傾向があります。メーカーによって異なりますが、カルーアミルクに使われるコーヒーリキュールは30mlあたり87kcal、梅酒は60mlあたり116kcaほどです。
またダイエットに適していると紹介したジンやウォッカ、ウイスキー、焼酎も、ジュースやシロップを使った甘いカクテルにすれば、カロリーや糖質が高くなります。カクテルを飲むのであれば、レモンやライムといった糖質の少ないフルーツやトマトジュースを使ったカクテルがおすすめです。
ダイエット中にお酒を飲むときに気をつけるポイント
ダイエット中にお酒を飲む際には、以下に気をつけましょう。
- 飲みすぎずに適量にする
- 低カロリーのおつまみを選ぶ
- 水をあわせて飲む
これらのポイントを押さえれば、お酒を楽しみながら上手にダイエットをしていけるでしょう。
飲みすぎずに適量にする
ダイエット中はもちろん、お酒の飲み過ぎは健康に害があるので注意すべきです。お酒を飲みすぎると、摂取カロリーが高くなり脂肪の代謝が行われにくくなります。
厚生労働省が推進している「健康日本21」で設定されている、日本人の「節度ある適度な飲酒」の量は、1日の平均で純アルコールの量が約20gです。女性や65歳以上の高齢者はアルコールの影響を受けやすいため、男性よりも少ない量が適量です。※5
各お酒の純アルコール量は以下になります。※6
- ビール500ml:20g
- 日本酒1合:22g
- ワイングラス(120ml)1杯:12g
- 焼酎(20%)1合:29g
- ウイスキー(30ml):10g
自分がよく飲むお酒の純アルコール量を覚えておくと、飲み過ぎを防ぎやすくなるでしょう。
低カロリーのおつまみを選ぶ
ダイエット中にお酒を飲む際には、低カロリーのおつまみを選びましょう。煮物・焼き魚・枝豆・冷奴・サラダがおすすめです。良質なタンパク質やビタミン・ミネラルが取れるよう工夫しましょう。
またカロリーが気になるからといって、おつまみを食べないで飲酒するのはNGです。何も食べないとアルコールが吸収されやすく、肝臓に大きな負担がかかります。
水をあわせて飲む
お酒を飲みすぎてしまう傾向がある方は、お酒と水を交互に飲みましょう。お酒と一緒に飲む水をチェイサーといい、アルコールの過剰摂取や酔って食べすぎてしまうのを防げます。アルコールによる胃や肝臓への負担も和らげられるでしょう。
とくにアルコール度数の高いお酒を飲む場合には、チェイサーを用意するのがおすすめです。チェイサーは、二日酔いやアルコールの利尿作用による脱水症状も予防できます。口をスッキリさせる効果もあるので、お酒やおつまみの味をより深く味わえるでしょう。
お酒と上手く付き合いながらダイエットをしよう
お酒はカロリーが高く、飲むと食欲が増します。さらにお酒を飲むと脂肪が分解されにくくなるので、ダイエット中は控えるのが理想です。しかしお酒を飲まないことでストレスが溜まるようなら、適度な飲酒を楽しんだほうが良い結果を生むかもしれません。
お酒を飲む際には、お酒の種類や純アルコールの量、おつまみの栄養・カロリーに注目しましょう。
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参照文献
※1 e-ヘルスネット. アルコールとメタボリックシンドロームhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-005.html(参照 2023年9月13日)
※2 e-ヘルスネット. アルコールのエネルギー(カロリー) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-059.html(参照 2023年9月13日)
※3 e-ヘルスネット. アルコールとメタボリックシンドロームhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-005.html(参照 2023年9月13日)
※4 e-ヘルスネット. アルコールと高尿酸血症・痛風https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-012.html(参照 2023年9月13日)
※5 厚生労働省.健康21(アルコール)https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html(参照 2023年9月14日)
※6 e-ヘルスネット.飲酒量の単位https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html(参照 2023年9月14日)
<監修者プロフィール>
水野泰孝
2003年東京慈恵会医科大学大学院修了。タイ王国マヒドン大学熱帯医学部留学、国立国際医療研究センター技官、在ベトナム日本大使館医務官、東京医科大学准教授、同大学病院感染制御部長・感染症科診療科長などを歴任し、2019年より現職。最新著書「感染症専門医が教える 新型コロナとの付き合い方」(現代書林2022年)。