有酸素運動は、健康やダイエットに良いといわれることも多いですが、実際にはどんな効果が期待できるのか知らない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、有酸素運動とはどんな運動なのか、またどんな効果が期待できるのか、該当する運動例を挙げながら解説します。
また、筋トレ(無酸素運動)との違いや有酸素運動を行う際の注意点、より効果を高める方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
有酸素運動とは
有酸素運動とは、比較的負荷が軽く運動強度が小さい運動で、エネルギーを作り出すために酸素を必要とすることから「有酸素運動」と呼ばれています。
運動などで身体を動かす際には、まず肝臓や骨格筋に貯蔵されている糖質を分解し、その過程で産生されるATP(アデノシンリン酸)という物質をエネルギー源としますが、糖質を体内に貯蔵できる量には限りがあるため、長時間運動するにはエネルギー源が不足しまいます。※1
その場合、中性脂肪として貯蔵されている体脂肪をエネルギー源として使用しますが、体脂肪を分解する過程において多くの酸素が必要になります。
これが有酸素運動のメカニズムです。
有酸素運動の具体例には、ウォーキングやジョギング、エアロビクス、水泳、サイクリングなどがあります。
有酸素運動と無酸素運動の違い
無酸素運動とは、短距離走や筋トレのように短時間で強い負荷がかかる運動です。筋肉を収縮する際に酸素が使われないことから、「無酸素運動」と呼ばれています。
有酸素運動と無酸素運動には、前述のとおりエネルギー源を産生する際に酸素を必要とするかどうかという違いがあります。
また、有酸素運動は糖質と脂質をエネルギー源とするのに対し、無酸素運動では、脂質は直接使われず糖質のみを消費するという違いもあります。
有酸素運動に期待できる効果
有酸素運動には、主に以下のような効果が期待できます。
・全身持久力の向上
・内臓脂肪の減少によるダイエット効果
・生活習慣病の予防・改善
それぞれについて解説します。
全身持久力の向上
全身持久力は、1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量を示す値「最大酸素量」という指標で評価できます。全身持久力が高い人とは、「身体を動かすために必要なエネルギー消費の予備力が高く、効率良く使うことができる人」です。
有酸素運動は運動のエネルギー源として酸素を必要とする運動であり、積極的に行うことで最大酸素摂取量を高めることができるため、持久力の向上につながります。
全身持久力が高まると、より少ないエネルギーで身体を動かせます。
内臓脂肪の減少によるダイエット効果
有酸素運動では、体脂肪をエネルギー源として消費するため、内臓脂肪が減少しやすくなります。
なお、運動のみで内臓脂肪を減少させるには、少なくとも週あたり10METs(メッツ)以上の有酸素運動をする必要があることが分かっています。
METsとは運動強度の単位で、安静時を1として何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を表す指標です。
ウォーキングや軽い筋トレ・子どもと遊ぶなどは3METs程度で、軽いジョギングは6METs、ランニングは8METsなど、運動の強度によって値が異なります。※2
有酸素運動は、比較的METsが低く長時間続けやすいため、運動中の内臓脂肪が燃焼しやすくなります。
生活習慣病の予防・改善
有酸素運動により内臓脂肪を減少させることで、高血糖や脂質異常、高血圧、動脈硬化の予防や改善、さらに内臓の働きも活発になることで糖や脂質の代謝、血流や血管壁の伸縮性の改善にもつながります。
有酸素運動を行うことで、肥満などの生活習慣病の予防効果・改善効果が期待できます。
おすすめの有酸素運動
さまざまな効果がある有酸素運動の具体例を、以下で紹介します。
ウォーキング
ウォーキングは老若男女行うことができる有酸素運動です。ジョギングとは異なり常に地に足がついているので、膝や腰に疾患を抱えていても怪我のリスクが少ないことも魅力です。
ポイントは、頭は揺らさずに目線はまっすぐ前を見て、リラックスした状態で自分のリズムで呼吸を行うことです。また肘はやや曲げて腕を大きく振り、膝を伸ばしてかかとから着地することを意識しましょう。
ウォーキングは連続して行う必要はなく、1日の合計が1万歩になるように目指しましょう。一般的に、ウォーキングの目安は10分で1kmといわれています。
習慣化することが大切なので、ちょっとした時間を見つけて行うことがおすすめです。
ジョギング
ジョギングは、ウォーキングとランニングの間の強度です。ウォーキングでは少し物足りないものの、ランニングでは負荷が高いと感じる人におすすめです。
ジョギングを行う際は、重心の真下に足を置いて足裏全体で着地することを意識しましょう。ウォーキングよりもかかとや膝への負担が大きいため、クッション性の高い靴を履くことがおすすめです。
ランニングマシン
雨の日など屋外を走るジョギングができないときは、ランニングマシンを利用する方法もあります。ランニングマシンは屋内でも手軽に有酸素運動を行える器具で、多くのジムやスポーツ施設に置かれています。
走行ベルトが着地の衝撃を吸収してくれるため走り慣れていない人でも怪我をしにくいことや、消費カロリーが表示されるためモチベーションの維持や達成感を味わいやすいことが魅力です。
屋外でジョギングを行うよりも消費カロリーは劣りますが、スピードを変えたり傾斜をつけられたりするため、自分に合った適度な負荷で行えます。
走ったあとはランニングマシンのクールダウンモードを利用し、筋肉の温度を徐々に下げることも大切です。
エアロバイク
エアロバイクは、腰や膝、そのほかの関節への負担が少なく運動が苦手な人でも行いやすいことや、テレビやスマホを見ながらでも行うことができることが魅力です。
長時間行うほど脂肪燃焼効果は大きくなり、カロリー消費量も高くなります。自分に合った適度な負荷で、20分以上を目安に行いましょう。
有酸素運動を行う際の注意点
さまざまな方法がある有酸素運動ですが、いくつかの注意点があります。注意点を意識しないと、運動効果が減ったり怪我につながったりする可能性があります。
有酸素運動を行う際の注意点を解説します。
ストレッチも忘れずに行う
怪我の予防や有酸素運動の疲労を軽減するためには、ストレッチをしっかり行うことが重要です。
ストレッチにより身体が温まることでエネルギー代謝が高まり、柔軟性の向上、血行促進、疲労回復効果が期待できます。
呼吸は止めずに、最低20秒ずつかけてゆっくり伸ばします。痛みではなく心地良さを感じる程度で、反動を使わずに伸びている感覚を意識して行うのがコツです。
水分補給を怠らない
有酸素運動を行う際は、屋内でもこまめに水分補給を行いましょう。とくに汗をかく夏は、熱中症の予防にもなります。
暑い時期や長時間行う際は、ナトリウムやカリウムなどのミネラル損失を補うためにスポーツドリンクを飲むこともおすすめです。ただし、スポーツドリンクには糖分も含まれているため、飲み過ぎに注意しましょう。
水分補給は、のどの渇きを感じる前にこまめに行うことがポイントです。
水分不足に陥ると、熱中症やけいれんの原因になるほか、脱水症状により血液が濃縮し心臓や血管への負担が増加します。脳梗塞や心筋梗塞などのさまざまな健康障害のリスクを伴うため、注意が必要です。※3
有酸素運動の効果を高める方法
いくつかのポイントを意識すると、有酸素運動の効果が高まりやすくなります。有酸素運動の効果を高める方法を紹介します。
筋トレのあとに有酸素運動を行う
有酸素運動の効果を高めるには、筋トレも取り入れることがおすすめです。
有酸素運動は糖質と脂肪をエネルギー源とするため、先に筋トレを行い糖質を消費することで、次に行う有酸素運動で効率良く脂肪を燃焼できます。
また、筋トレを行うことで分泌される成長ホルモンには、骨や筋肉の発育・発達を促したり、筋肉を回復させたりする働きがあるほか、中性脂肪の分解を促す働きもあります。
以上の理由から、筋トレを行ったあとに有酸素運動を行うことで、より効果を高めることが期待できます。
週に3回以上の頻度で行う
有酸素運動の効果をより高めるには、一度だけではなく定期的に行うことが重要です。
日常的に座っている時間が長い人や運動の習慣がない人は、週に3~5日、強度が軽~中度の有酸素運動を1日あたり20~30分行いましょう。
定期的に高強度の運動を行っている人は、サイクリングや縄跳びなどの高強度の有酸素運動を週に3~5日、1日あたり30~90分行うことが推奨されています。
ただし、体力や健康状態によっても運動の効果は異なるため、無理は禁物です。
日常に有酸素運動を取り入れて健康の維持・増進を図ろう
有酸素運動は比較的強度の低い運動で、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどがあります。
酸素を取り入れながらエネルギーを産生し、糖質と脂質をエネルギー源とするのが特徴で、全身持久力の向上や内臓脂肪の減少、生活習慣病の予防や改善など、さまざまな効果が期待できます。健康の維持増進やダイエット効果も期待できるため、ストレッチや水分補給を意識しながらぜひ日常に有酸素運動を取り入れてみましょう。
ウォーキングやジョギングなど、天候に左右されなかなか思うように有酸素運動が行えない場合は、ジムに通うことも選択肢のひとつです。
ジムでは有酸素運動と筋トレどちらも手軽に行うことができます。とくに、パーソナルジムなら、プロの専属トレーナーがアドバイスをくれるため自分に合ったメニューでトレーニングができます。
24/7Workoutは、レッスンを通じてお客様自身がボディメイクのプロになることを目標としたパーソナルジムです。お客様の目標に合ったトレーニングメニューで無理なく継続できます。
有酸素運動を取り入れたい方や自分に合った運動が分からない方は、ぜひ無料カウンセリングにお越しください。
参照文献
※1.健康長寿ネット.トレーニング:有酸素運動とは
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/yusanso-undou.html(参照2023年7月26日)
※2. e-ヘルスネット.メッツ/METs. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-004.html (参照2023年7月26日)
※3.東京都保健医療局.ウォーキング中の水分補給の方法は?https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/walkmap/tips/02.html (参照2023年7月26日)
<監修者プロフィール>
杉岡充爾
すぎおかクリニック理事長。医学博士、日本循環器学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会健康スポーツ医。著書に「強い血管をつくれば健康になる」(ベストセラーズ)、「最高の疲労 回復法」(大和書房)、「おうちストレスをためない習慣」(クロスメディアパブリッシング)をはじめ多数執筆。メディア出演も多数。Youtubeでは『Dr杉岡のスーパー健康サポートTV』にて様々な健康情報を発信中。