「水泳でどのくらい痩せられるのか知りたい」と考えている方もいるでしょう。
体重や運動の強度により消費カロリーは異なりますが、水泳はランニングや筋トレなどと比べて消費カロリーが高い特徴があります。水泳のダイエット効果を高めるためには、ポイントをおさえましょう。
この記事では、水泳ダイエットの消費カロリーや行ううえでのコツ、おすすめの泳ぎ方などを紹介します。
水泳はダイエットに向いている
水泳がダイエットに向いている理由は、ほかの運動に比べて消費カロリーが高いためです。陸で行う運動と水泳をそれぞれ30分行った場合の消費カロリーでは、次のように差があります。
体重 | 水泳(クロール) | ウォーキング | ランニング | 筋トレ(腕立て) |
50kg | 約218kcal | 約112kcal | 約184kcal | 約100kcal |
60kg | 約261kcal | 約135kcal | 約221kcal | 約120kcal |
70kg | 約305kcal | 約158kcal | 約257kcal | 約140kcal |
80kg | 約349kcal | 約180kcal | 約294kcal | 約160kcal |
出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」を加工して作成
水泳では、水の抵抗や圧力によって身体に対して常に負担がかかります。身体に対して軽い負担が長時間続く運動のことを有酸素運動といいますが※1、有酸素運動は一定時間続けることで脂肪燃焼効果を得られる効果があります。
また、水中では体温を維持するために普段よりもエネルギーを消費するため、水泳は陸で運動するよりもエネルギー消費が多いといえるでしょう。※2
水泳ダイエットの7つのメリット
水泳ダイエットのメリットは次の7つです。
- 関節にやさしい
- リラックスできる
- 消費カロリーが高い
- 普段使わない筋肉を鍛えられる
- スタミナがつく
- 基礎代謝が高まる
- 雨の日でも運動できる
水泳には、ウォーキングやランニングなどの陸上で行う運動では得られない効果があります。それぞれ水泳ダイエットのメリットを紹介します。
関節にやさしい
水泳は水中で常に浮力を受けているため、歩いても関節への負荷が発生しにくくなります。一方でウォーキングは、着地する際に膝関節などに負荷がかかります。
またランニングの着地時に膝に乗る負荷は、体重の3倍以上といわれています。※3体重が70kgの方であれば、一回の着地で約210kgもの負荷が膝にかかる計算のため、肥満体型や関節を痛めている方が走ると、膝を故障する可能性も十分に考えられるでしょう。
そのため、水泳は関節の負担を軽減するだけでなく、怪我のリスクを下げられる可能性があります。
リラックスできる
水中の浮力により「抗重力筋」の緊張が解けることで、ポジティブな気分が増加し、心身のリラックス効果が期待できます。※4
抗重力筋は、太ももやお腹などに位置しており、姿勢を維持するために必要な筋肉です。※5
ダイエット中はストレスが溜まりやすくなりますが、水泳を通してリラックスをするとダイエットのモチベーションも維持しやすいでしょう。
消費カロリーが高い
先述のとおり、水泳にはほかの運動に比べて消費カロリーが高い特徴があります。主な理由は次の2つです。
- 水温が低い
- 強度が高い
運動目的で使われる市民プール(屋内プール)の水温は、28∼29℃と、一般的な人の体温の35~36℃よりも低く設定されています。
温度が低い水中では、身体は体温を下げないようにエネルギー消費量を上げるため、陸にいるときよりも消費カロリーが高まるといえるでしょう。
また、水泳はほかの運動と比べて運動強度(METs)が高い特徴があります。METsとは、運動強度を示す単位のことです。METsの数字が大きいほど運動強度は高く、運動強度に比例して、消費カロリーも増えます。
運動ごとの強度(METs)を比較してみると※6、水泳(クロール)の強度がとくに高いことが分かります。
運動の種類 | METs |
クロール(一般的な強度) | 8.3 |
ランニング(一般的な強度) | 7.0 |
ウォーキング(一般的な強度) | 4.3 |
腕立て(一般的な強度) | 3.8 |
出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」を加工して作成
普段使わない筋肉を鍛えられる
水泳では、水の抵抗があるため普段使わない筋肉を鍛えられます。
水の抵抗は、空気の12倍もあるといわれています。※7 そのため、同じ運動でも水中で行うだけで太ももの筋肉やインナーマッスルのトレーニング効果が高まることが期待できます。
インナーマッスルとは、体内の深部に位置する筋肉のことで、排便をサポートしたり、内臓の位置を正したりする役割があります。※8
ダイエットとあわせてインナーマッスルも鍛えれば、より理想的な体型に近づけるでしょう。
スタミナがつく
水泳は心肺持久力(運動を長く続けるために必要な能力※9※10)が鍛えられるため、運動を長く続けるために必要なスタミナがつきます。
心肺持久力が向上すれば、体内に取り込める酸素量が増え、疲れを感じにくくなるメリットがあります。水泳は30分以上行うことで脂肪が燃焼されやすくなるため、スタミナがつけばダイエットもより効率的に行えるでしょう。
基礎代謝が高まる
水泳では、心肺機能を鍛えられます。心肺機能が高まることで、心臓や肺の働きが正常になり、血流が良くなります。また、水泳によって身体が満遍なく鍛えられることで筋肉量が向上し、結果的に基礎代謝が高まることが期待できます。
基礎代謝量が多いほど1日で消費できるカロリーも増えるため※11、より痩せやすい身体を作れるでしょう。
雨の日でも運動できる
ランニングやサイクリングなどは有酸素運動に適した運動ですが、雨の日に屋外での運動は難しいでしょう。一方で、市民プールは基本的に屋内に設けられています。
水泳は天候に左右されにくい運動のため、人によってはほかの運動と比べてモチベーションを維持しやすいでしょう。
ダイエットにおすすめの泳ぎ方5選
水泳ダイエットにおすすめの泳ぎ方は次の5つです。
- 水中ウォーキング
- クロール
- 平泳ぎ
- 背泳ぎ
- バタフライ
泳ぎ方ごとの特徴や消費カロリーなどを解説します。
水中ウォーキング
水中ウォーキングは運動強度が低いため、運動初心者にもおすすめです。また、身体に対して水の抵抗がかかるため、高齢の方でも手軽に取り組めます。※12
水中ウォーキングのMETsと30分行った際の消費カロリーは、以下のとおりです。
体重 | 水中歩行:楽な労力、ゆっくり(2.5METs) | 水中歩行:ほどほどの労力、ほどほどの速さ(4.5METs) | 水中歩行:きつい労力、速い(6.8METs) |
50kg | 約66kcal | 約118kcal | 約179kcal |
60kg | 約79kcal | 約142kcal | 約214kcal |
70kg | 約92kcal | 約165kcal | 約250kcal |
80kg | 約105kcal | 約189kcal | 約289kcal |
出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」を加工して作成
クロール
クロールは、ほかの泳ぎ方と比べて消費カロリーが多くなっています。運動強度が高いため、水泳の運動に慣れてから取り組むのがおすすめです。
クロールのMETsと30分行った際の消費カロリーは、以下のとおりです。
体重 | 往復水泳:自由形、クロール、ゆっくり、楽からほどほどの労力(5.8METs) | 水泳:クロール、ふつうの速さ、45.7m/分未満、きつい労力(8.3METs) | 水泳:クロール、速い、68.6m/分未満、きつい労力(10.0METs) |
50kg | 約152kcal | 約218kcal | 約263kcal |
60kg | 約183kcal | 約261kcal | 約315kcal |
70kg | 約213kcal | 約305kcal | 約368kcal |
80kg | 約244kcal | 約349kcal | 約420kcal |
出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」を加工して作成
平泳ぎ
平泳ぎは運動強度が低いため、長時間泳ぐのに向いています。脂肪を燃焼させるには、有酸素運動を20分以上続ける必要があることを考えると、長時間続けられる平泳ぎはダイエット向きの種目といえるでしょう。
平泳ぎのMETsと30分行った際の消費カロリーは、以下のとおりです。
体重 | 水泳:平泳ぎ、レクリエーション(5.3METs) | 水泳:平泳ぎ、全般、トレーニング、競技(10.3METs) |
50kg | 約139kcal | 約270kcal |
60kg | 約170kcal | 約324kcal |
70kg | 約195kcal | 約379kcal |
80kg | 約223kcal | 約433kcal |
出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」を加工して作成
背泳ぎ
背泳ぎは顔を天井に向けながら泳ぐため、息継ぎが苦手な方におすすめです。平泳ぎと同様に消費カロリーは低めですが、長時間泳ぎたい場合に取り入れてみてください。
背泳ぎのMETsと30分行った際の消費カロリーは、以下のとおりです。
体重 | 水泳:背泳ぎ、レクリエーション(4.8METs) | 水泳:背泳ぎ、全般、トレーニング、競技(9.5METs) |
50kg | 約126kcal | 約249kcal |
60kg | 約151kcal | 約299kcal |
70kg | 約176kcal | 約349kcal |
80kg | 約202kcal | 約399kcal |
出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」を加工して作成
バタフライ
バタフライは、とくに運動強度が高い泳ぎ方です。全身の筋肉を激しく使うため疲れやすい運動ですが、短時間で多くのカロリーを消費できます。運動に慣れている方や水泳が得意な方はぜひ取り入れてみてください。
バタフライのMETsと30分行った際の消費カロリーは、以下のとおりです。
体重 | 水泳:バタフライ、全般(13.8METs) |
50kg | 約362kcal |
60kg | 約435kcal |
70kg | 約507kcal |
80kg | 約580kcal |
出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」を加工して作成
水泳ダイエットの効果を高めるための3つのポイント
水泳ダイエットの効果を高めるためのポイントは次の3つです。
- 水泳前にストレッチを行う
- ゆっくり泳ぐ
- 無酸素運動も取り入れる
ポイントをおさえ、水泳ダイエットに取り組みましょう。
水泳前にストレッチを行う
ストレッチを行うことで、関節や筋肉の柔軟性を高められます。また、関節や筋肉をほぐすことで運動のパフォーマンスの向上につながる効果もあります。※13
また、ストレッチ自体が低強度の運動(2.3METs)にもなるため、水泳前に取り入れるのがおすすめです。
ゆっくり泳ぐ
ゆっくり泳ぐことで筋肉にかかる負荷が強くなるため、筋力アップを狙えます。「スロートレーニング」と呼ばれ、力を発揮した状態で、動作をゆっくり行うことで効果が得られます。※14
また、ゆっくりと泳ぐことで関節への負荷が弱まり、怪我の予防にもつながります。
無酸素運動も取り入れる
筋トレなどの無酸素運動を取り入れることで、水泳のダイエット効果がアップします。筋トレで筋肉量が増えれば、同じ運動でも基礎代謝の向上や消費カロリーが増加する可能性が高まります。
以前よりも筋肉量が多い状態で水泳に取り組むことで、効率的なカロリー消費につながるでしょう。また、基礎代謝がアップすれば、太りづらく、痩せやすい身体になります。
消費カロリーが高い水泳はダイエットに効果的!
水泳はほかの運動よりも消費カロリーが高いため、ダイエットに効果的です。より効果を高めるためには、ゆっくり泳いだり、筋トレを取り入れたりしましょう。
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参照文献
※1e-ヘルスネット.エアロビクス / 有酸素性運動.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-072.html(参照2023年7月24日)
※2 e-ヘルスネット.アクアエクササイズ.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-071.html(参照2023年7月24日)
※3 松永直人,阿久澤弘,今井厚,金岡恒治. 走動作による疲労が筋活動様式に及ぼす影響. https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/25-2/196-202.pdf(参照2023年7月24日)
※4Oda S, Matsumoto T, Nakagawa K, Moriya K. Relaxation effects in humans of underwater exercise of moderate intensity. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10483793/(参照2023年7月24日)
※5 e-ヘルスネット.抗重力筋.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-093.html(参照2023年7月24日)
※6国立健康・栄養研究所.改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』.https://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/2011mets.pdf(参照2023年7月24日)
※7 一般財団法人 熊本県スポーツ振興事業団.『水の4大特性』について.https://www.kspa.or.jp/archives/s3/18313/(参照2023年7月24日)
※8 公益財団法人長寿科学振興財団.インナーマッスルとは.https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/innermuscle.html(参照2023年7月24日)
※9 e-ヘルスネット.心肺持久力.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-095.html(参照2023年7月24日)
※10 大阪体育大学.「スタミナの正体とは?」 | 教えて!大体大先生!.https://www.ouhs.jp/nyushi/oshiete/story02/ (参照2023年7月24日)
※11 e-ヘルスネット.身体活動とエネルギー代謝. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-003.html(参照2023年7月24日)
※12 藤原 勝夫,清田 直恵,外山 寛,伊禮 まり子,中村 天,中村 彩,清田 岳臣,黒川 望.高齢者における森歩き運動と水中運動の健康増進効果. https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbs/17/2/17_67/_pdf/-char/ja (参照2023年7月24日)
※13谷澤 真,飛永 敬志,伊藤 俊一,短時間の静的ストレッチングが柔軟性および筋出力に及ぼす影響.https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/21/1/21_51/_pdf(参照2023年7月24日)
※14 e-ヘルスネット.スロートレーニングとは.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-003.html(参照2023年7月24日)
<監修者プロフィール>
松村伸
慶應義塾大学附属病院、湘南鎌倉総合病院、海老名総合病院の総合診療医の研修先連携施設であるまつむらファミリークリニック院長。日本プライマリケア連合学会では医学だけではなく栄養学、経営、経済など幅広い分野の教育講演やワークショップを行なっている。