肥満や生活習慣病の予防のために、「内臓脂肪を減らしたい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
内臓脂肪を減らす方法は、大きく分けて「食事」と「運動」の2つあり、両方を意識し、生活習慣を改善することで効率的に内臓脂肪を減らせる可能性があります。
本記事では、内臓脂肪を減らすための食事内容や運動方法を紹介します。
内臓脂肪とは「内臓付近に蓄積される脂肪」のこと
内臓脂肪とは、内臓付近に蓄積される脂肪です。消費されなかったエネルギーが内臓脂肪に変わり蓄積していきます。
目安としては、ウエスト周りが男性85cm、女性90cmを超えている場合、内臓脂肪が蓄積している可能性が高いでしょう。※1
また、手足が細く、お腹だけぽっこり出ている方も内臓脂肪が蓄積していると考えられます。
内臓脂肪とよく混合される言葉に「皮下脂肪」があります。皮下脂肪とは、皮下組織に蓄積される脂肪のことで、内臓脂肪に比べて落としづらい傾向があります。
肥満は「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」に分けられ、皮下脂肪は女性につきやすく、内臓脂肪は男性につきやすい特徴があります。女性も閉経を迎えると女性ホルモンの減少により内臓脂肪を蓄積しやすくなります。
内臓脂肪と皮下脂肪が蓄積する理由には、いずれも「運動不足」「食べ過ぎ」が関わっています。運動習慣と食事内容を改善することで、内臓脂肪と皮下脂肪は減っていくでしょう。
内臓脂肪を減らすための6つの食事方法
内臓脂肪を減らすための食事方法は次の6つです。
- よく噛んで食べる
- 飲酒を控える
- 偏りのない食事を心がける
- 糖質と食物繊維を一緒に食べる
- 睡眠をしっかりとる
- 夜の9時までには食事を終える
上記の食事方法を取り入れるほど、内臓脂肪を減らしやすくなるでしょう。内臓脂肪を減らすための食事方法を解説します。
よく噛んで食べる
よく噛んで食べることで自律神経の活動を刺激し、エネルギーの消費量が多くなるといわれています。
満腹中枢が刺激されるため、食べ過ぎを防げる効果もあります。
過度な飲酒を控える
お酒を控えることは、健康的な食事習慣の一つです。アルコールは高カロリーであり、摂り過ぎると内臓脂肪が蓄積される可能性があります。また、アルコールは脂肪の分解を妨げ、食欲を増進させる傾向もあるため気をつけましょう。
過剰な飲酒は内臓脂肪の蓄積だけでなく、さまざまな疾患のリスクを高めることもあります。そのため、飲酒するのであればアルコール量を調整するのがおすすめです。また、ノンアルコールに代替することも方法の一つです。
偏りのない食事を心がける
食事が偏ると、栄養バランスが崩れて内臓脂肪の増加につながる可能性があります。そのため、主食や主菜、副菜を組み合わせた食事を心がけるようにしましょう。
また、炭水化物やタンパク質、脂質で構成される3大栄養素のバランスを意識することも大切です。
睡眠をしっかりとる
睡眠不足の状態は、満腹感を調節するホルモンである「レプチン」が減少し、食欲を刺激するホルモンである「グレリン」の分泌が増加します。これらのホルモンバランスの変化の結果、食欲が増加し、高カロリーな食べ物に手を出しやすくなります。
内臓脂肪を減らすためにも、夜更かしはせず、睡眠をしっかり取ることがおすすめです。
夜の9時までには食事を終える
内臓脂肪を減らすためには、夕食を夜の9時までに終わらせることが重要です。その理由には「BMAL1(ビーマルワン)」というタンパク質が関わっています。
BMAL1は、過剰なエネルギーを利用し、脂肪を合成します。夜10時から夜中の2時までに、BMAL1の分泌量は20倍に増加するため、夜10時以降に食事すると太りやすくなります。※2
遅くとも夜9時には食事を終えることで、内臓脂肪が増えるのを防ぎやすくなるでしょう。食事が遅くなる場合は、糖質の摂取をできるだけ避けて、野菜やおかず中心に食べるなどの工夫を心がけましょう。
内臓脂肪を減らせる6つの食品
内臓脂肪を減らすのにおすすめの食品は次の6つです。
- 大豆
- 青魚
- お酢
- 緑茶や烏龍茶
- コーヒー
- トマト
ただし、上記の食品を摂れば必ずしも痩せるわけではなく、栄養が偏ればかえって体調不良になる場合もあります。
あくまで取り入れられる範囲内で摂取し、バランスの良い食事を心がけましょう。
大豆
内臓脂肪を減らすための食事には、植物性タンパク質を多く含む大豆製品が効果的です。タンパク質とは、筋肉を維持するために必要な栄養素です。
通常は肉から摂取されることが多いですが、肉のみでタンパク質を摂取すると、無意識のうちに脂質摂取量が過剰になっている場合があります。
脂質を摂りすぎると、内臓脂肪がつく原因にもなるため、大豆製品からもタンパク質を摂取して、肉からの脂質摂取量を調整することをおすすめします。
大豆製品には、納豆や豆腐、豆乳などがあります。好みの食品を、普段の食事に加えてみてはいかがでしょうか。
青魚
サバやサンマなどの青魚には、血液をサラサラにするDHA・EPAという成分が含まれています。これらの成分は、オメガ3系脂肪酸に分類されます。また、必須脂肪酸ともいわれ、内臓脂肪を減らす効果が期待できます。
青魚はタンパク質も豊富に含まれているため、肉料理の代わり魚料理を取り入れてみてはいかがでしょうか。
お酢
お酢に含まれる「酢酸」には、コレステロールの増加を抑えたり脂肪の合成を抑えて脂肪燃焼を促したりする効果があります。※3
中でもおすすめは、アミノ酸が豊富に含まれた「黒酢」です。アミノ酸は筋肉の栄養素となるため、運動と一緒に黒酢を摂取すると効率的に筋肉を成長させられる可能性があります。酢は加熱にも耐えるため、調味料としても使えます。
味わいを楽しむ目的だけでなく、健康の一環としてもお酢を料理に活用すると良いでしょう。
緑茶や烏龍茶
緑茶や烏龍茶に含まれる「カテキン」には、脂肪代謝促進作用が期待されています。内臓脂肪を減らすためにも、日常の水分摂取を緑茶や烏龍茶にしてみてはいかがでしょうか。
コーヒー
コーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノールが含まれており、脂肪の代謝を促進する作用があります。ポイントは、砂糖やミルクなどを加えないことです。余分な糖分を摂取すると、内臓脂肪がつく可能性が高まります。
コーヒーは、摂取量の目安のカフェイン量400mg相当(1日3~5杯)を守りながら飲みましょう。
トマト
トマトに含まれている「リコピン酸」には、悪玉コレステロールを減少させて、内臓脂肪をつきにくくする効果があります。トマトはさまざまな料理に使えるため、積極的に取り入れてみるのも方法の一つです。
内臓脂肪を減らすための運動方法4選
内臓脂肪を減らすためにおすすめの運動方法は次の4つです。
- ランニング
- 水泳
- 腹筋
- スクワット
それぞれ解説します。
ランニング
ランニングで脂肪燃焼させるには、人と話せるほどのペースが最適といわれています。具体的には、運動開始時は最大心拍数の40~60%のペースを目指しましょう。慣れてきたら最大心拍数量の80%ぐらいまで増加できるとより効果的です。
また、痩せたいからといって全力疾走するのは避けましょう。全力疾走は筋トレに近い運動になるため、脂肪燃焼には適していません。
水泳
水泳は有酸素運動の中でも消費カロリーが多く、脂肪燃焼の効果が高いです。水泳はランニングと比べて、体への負担が少ないため、幅広い年齢層の方が取り入れています。
ただし、ランニングほど手軽にできる運動ではないため、まとまった時間を確保できる場合のダイエット手段と考えましょう。
腹筋
腹筋では内臓脂肪の燃焼効果を期待できます。また、腹筋により筋肉量が増加すれば、基礎代謝量の向上も期待できるでしょう。
ただし、誤ったやり方は腰を痛める可能性があるため注意が必要です。
スクワット
足の筋肉は体の中で一番大きく、スクワットは筋トレの中でとくに脂肪燃焼の効果が高い運動です。
ただし、負荷が強いため、体に不調のある方や運動初心者にはおすすめできません。いきなり負荷の強い運動を実施すると、体を痛める可能性があります。
内臓脂肪を減らして健康維持を目指そう
内臓脂肪を効率的に減らすには、食事と運動に気を配る必要があります。具体的には、夜の9時までに食事を終える、よく噛んで食べるなどです。また、大豆や食物繊維が含まれた食品を摂ることも効果的です。
運動では、ランニングや腹筋、スクワットなどを行うことで内臓脂肪を減らせます。しかし、運動初心者の方がいきなり筋トレすると、体を痛める可能性があるため、少しずつ行っていきましょう。
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参照文献
※1 国立国際医療研究センター糖尿病情報センター. メタボってなに?.https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/02.html (参照2023年7月5日)
※2独立行政法人 労働者健康安全機構.ちょっとした食事のはなし
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/kinrosyashien/pdf/H26-1.pdf(参照2023年7月5日)
※3小泉幸道.日本調理科学会誌(J. Cookery Sci. Jpn. )Vol. 54, No. 3,153~156(2021)〔講座〕. 食酢の多彩な効用. https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/54/3/54_153/_pdf(参照2023年7月5日)
<監修者プロフィール>
松久貴晴
医療法人 松久医院副院長、名古屋大学病院 総合診療科客員研究者。
和歌山県立医科大学卒業、名古屋大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。
総合診療専門医・指導医、家庭医療専門医・指導医、総合内科専門医、漢方専門医、健康スポーツ医。第9回日本PC連合学会日野原賞受賞。研究領域はメタボリック・シンドロームに対する減量維持方法の探索等。