タンパク質は筋トレや健康な身体作りのために欠かせない栄養素です。しかし、意識せずに必要な量のタンパク質を摂取するのは難しく、ときにはタンパク質が不足してしまうこともあるでしょう。
十分な量のタンパク質を毎日摂取するには、普段の食事に高タンパクな食材を取り入れることが大切です。この記事ではタンパク質の主な働きや摂取目安量、高タンパクな食材の種類、レシピの例を紹介します。
タンパク質の働き
タンパク質は人の身体に欠かせない重要な栄養素です。タンパク質と一口にいってもその種類は膨大で、人間の身体には約10万種類のタンパク質が存在するといわれています。※1
タンパク質の働きは種類によって異なりますが、主な働きとして挙げられるのが身体の組織の構成です。摂取したタンパク質は体内でアミノ酸に分解され、血液とともに全身に運ばれます。全身に運ばれたアミノ酸は筋肉や内臓、皮膚、髪の毛、骨などを構成するために使われます。
このほか、「酵素やホルモンとして代謝を調整する」「身体の免疫に関わる抗体となる」など、タンパク質にはさまざまな働きがあります。※2
タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されており、体内で合成できる「非必須アミノ酸」と体内で合成できない「必須アミノ酸」に分けられます。体内で合成できない必須アミノ酸は、食事をとおして摂取しなければいけません。
タンパク質1日の摂取目安量
身体に必要なタンパク質が不足すると、免疫力や抵抗力が低下して病気にかかりやすくなるほか、筋肉量も低下してしまいます。
こうしたタンパク質不足が招く身体の不調を避けるためには、十分な量のタンパク質を毎日摂取することが大切です。厚生労働省では、1日に以下の量のタンパク質を摂取することを推奨しています。※3
年齢 | タンパク質の摂取目安量(男性) | タンパク質の摂取目安量(女性) |
1〜2歳 | 20g | 20g |
3〜5歳 | 25g | 25g |
6〜7歳 | 30g | 30g |
8〜9歳 | 40g | 40g |
10〜11歳 | 45g | 50g |
12〜14歳 | 60g | 55g |
15〜17歳 | 65g | 55g |
18〜29歳 | 50g | |
30〜49歳 | ||
50〜64歳 | ||
65〜74歳 | 60g | |
75歳以上 |
なお、妊娠中期〜後期の妊婦の方は、タンパク質を通常よりもやや多めに摂取することが推奨されています。具体的な摂取目安量は次のとおりです。※3
妊娠の段階 | タンパク質の摂取目安量 |
中期 | 通常の摂取目安量に加えて+5g |
後期 | 通常の摂取目安量に加えて+25g |
タンパク質が多く含まれている食材
1日に必要なタンパク質の摂取量を満たすには、口にする食材に気を配ることが重要です。タンパク質の含有量は食材によって異なります。そのため、できるだけタンパク質が多く含まれる食材を取り入れましょう。
なお、タンパク質は主に肉類、魚介類、卵類、乳類、豆類に多く含まれています。以下では、タンパク質を多く含む食材、食材ごとのタンパク質の含有量を紹介します。
肉類
食材の種類 | タンパク質(100gあたり) |
豚ヒレ(赤肉 焼き) | 39.3g |
鶏むね肉(皮なし 焼き) | 38.8g |
ささみ(赤肉 生) | 24.6g |
豚ロース(赤肉 生) | 22.9g |
豚ヒレ(赤肉 生) | 22.2g |
豚もも肉(赤肉 生) | 22.1g |
牛もも肉(赤肉 生) | 21.3g |
出典:文部科学省「食品成分データベース」を加工して作成
数ある食材のなかでも、肉類は体内で合成できない必須アミノ酸をバランス良く含んでいます。特に豚ヒレや鶏むね肉には多くのタンパク質が含まれているため、積極的に取り入れると良いでしょう。
魚介類
食材の種類 | タンパク質(100gあたり) |
しらす干し(半乾燥品) | 40.5g |
クロマグロ(赤身 生) | 26.4g |
カツオ(春摂り 生) | 25.8g |
キハダマグロ(生) | 24.3g |
ゴマサバ(生) | 23.0g |
ウルメイワシ(生) | 21.3g |
マアジ(皮付き 生) | 19.7g |
出典:文部科学省「食品成分データベース」を加工して作成
魚介類もお肉と同様、必須アミノ酸が豊富に含まれる食材です。タンパク質以外にも、ビタミンやミネラル、脳血栓や心筋梗塞の予防効果に期待できるEPAなど、身体に必要なさまざまな栄養素が詰まっています。
卵類
食材の種類 | タンパク質(100gあたり) |
卵黄 (生) | 16.5g |
うずら卵(生) | 12.6g |
鶏卵(ゆで) | 12.5g |
鶏卵(生) | 12.2g |
出典:文部科学省「食品成分データベース」を加工して作成
タンパク質を効率良く摂取したいなら卵類もおすすめです。卵には9種類の必須アミノ酸が含まれており、タンパク質の質をスコア化した「アミノ酸スコア」は100点満点です。※4
乳類
食材の種類 | タンパク質(100gあたり) |
ナチュラルチーズ(パルメザン) | 44.0g |
ナチュラルチーズ(チェダー) | 25.7g |
加糖練乳 | 7.7g |
ヨーグルト(脱脂加糖) | 4.3g |
脱脂乳 | 3.4g |
普通牛乳 | 3.3g |
出典:文部科学省「食品成分データベース」を加工して作成
乳類には「乳タンパク質」が豊富に含まれています。乳タンパク質は、筋肉作りに欠かせない「ロイシン」と呼ばれるアミノ酸を多く含んでいるのが特徴です。また、乳類はカルシウムも豊富なので、積極的に摂取することでより強い身体を作れます。
豆類
食材の種類 | タンパク質(100gあたり) |
油揚げ(生) | 23.4g |
挽きわり納豆 | 16.6g |
がんもどき | 15.3g |
大豆(ゆで) | 14.8g |
木綿豆腐 | 7.0g |
絹豆腐 | 5.3g |
出典:文部科学省「食品成分データベース」を加工して作成
タンパク質は「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」の2種類に分類されており、豆類の食材からは植物性タンパク質を摂取できます。植物性タンパク質は豆類・野菜・穀類に含まれるタンパク質のことで、コレステロールの少なさが特徴です。
一方、動物性タンパク質は肉類や魚介類、卵などに含まれています。動物性タンパク質を含む食材はアミノ酸をバランス良く摂取できるものの脂質が多い傾向にあり、摂りすぎると肥満につながる可能性もあります。
そのため、タンパク質を摂取するなら、できるだけコレステロールが少ない植物性タンパク質を含む食材を取り入れることが大切です。肥満を防ぐためにも、豆腐や納豆などの豆類も食べるように心がけましょう。
タンパク質を効率良く摂取できるレシピ
ここからは、タンパク質を効率良く摂取できるおすすめのレシピを紹介します。
カツオとトマトのうま味たっぷりデミグラスカレー
<材料(2人分)>
カツオ(刺身用) | 160g |
トマト | 大1個または小2個 |
玉ねぎ | 2分の1個 |
塩胡椒 | 少々 |
バター | 20g |
カレー粉 | 大さじ1 |
小麦粉 | 大さじ2分の1(カツオにまぶす分量) |
小麦粉 | 大さじ1と2分の1(炒める際に使う分量) |
水 | 200ml |
ケチャップ | 大さじ2 |
中濃ソース | 大さじ2 |
砂糖 | 大さじ2分の1 |
醤油 | 大さじ2分の1 |
コンソメ | 大さじ2分の1 |
<作り方>
- カツオを一口大に切り、塩胡椒と小麦粉大さじ2分の1をまぶす
- トマトを一口大に切り、玉ねぎは縦薄切りにする
- 熱したフライパンにバターを入れて溶かしてから、カツオ、トマト3分の2個分、玉ねぎを入れて中火で炒める
- カツオの色が変わったら、カレー粉、小麦粉大さじ1と2分の1を入れ、粉っぽくなくなるまで炒める
- 水、ケチャップ、中濃ソース、砂糖、醤油、コンソメを合わせ、フライパンに加えて5分程度煮込む
- トマト3分の1個分を入れ、柔らかくなるまで煮る
出典:農林水産省「カツオとトマトのうま味たっぷりデミグラスカレー」
高タンパクなカツオをカレーに取り入れた料理です。ケチャップやバターの甘みで辛さが抑えられているため、子どもも安心して食べられます。
米粉でカンタン豚の生姜焼き
<材料(2人分)>
豚ロース | 100g |
米粉 | 15g |
油 | 大さじ2分の1 |
生姜 | 10g |
醤油 | 大さじ1 |
酒 | 大さじ1 |
みりん | 大さじ1 |
<作り方>
- 醤油、酒、みりんを合わせて火にかけ、ひと煮立ちさせる
- 豚肉に米粉をはたき、フライパンに油を熱して両面を強火で焼く
- 焼き色がついたら1.のたれを回し入れ、煮からめる
- 最後におろした生姜を加えてからめる
出典:農林水産省「米粉でカンタン豚の生姜焼き」
高タンパクな豚ロースを使ったお手軽生姜焼きです。ご飯のおかずにはもちろん、お弁当にも最適な一品です。
タンパク質を意識した食事で健康的な身体を作ろう
タンパク質は身体作りや代謝の調整など、人間にとって重要な役割を持つ栄養素です。タンパク質が不足しないよう、さまざまな食材をとおして効率良く摂取しましょう。
また、ダイエット中の食事制限を理由にたんぱく質が不足しやすい方は、栄養不足を防ぐ観点から3食しっかり食べるダイエットを実践することをおすすめします。
パーソナルトレーニングジムの24/7Workoutでは、3食食べられるよう食事指導をしながらトレーニングによってダイエットをサポートいたします。
カウンセリングは無料なので、ぜひお気軽にお申し込みください。
参考文献
※1 e-ヘルスネット.たんぱく質. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html(参照 2023年10月5日)
※2 大塚製薬. タンパク質. https://www.otsuka.co.jp/college/nutrients/protein.html(参照 2023年10月5日)
※3 厚生労働省. 1―2 たんぱく質. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf(参照 2023年10月5日)
※4 一般社団法人 日本養鶏協会. たまごの知識. https://www.jpa.or.jp/chishiki/aminosan/01.html(参照 2023年10月5日)
<監修者プロフィール>
伊藤まゆ
M’sクリニック南麻布 院長
日本抗加齢医学会専門医
日本医師会認定産業医
本当の美とは、心と体の健康あってこそ、という観点から、2007年開院時より、内外美容医療を提唱、実践。栄養学、予防医学、エイジングケア、美容について、多様な経験と多角的視点で取り組み、幅広い世代のサポートを行なっている。