食事制限によるダイエットが苦手なら、タンパク質ダイエットを実践してはいかがでしょうか。タンパク質ダイエットは極端な食事制限をせず、痩せやすい身体を作るダイエット方法です。
この記事では、タンパク質ダイエットの概要やダイエットにタンパク質が効果的な理由、高タンパクな食材などを紹介します。
タンパク質ダイエットとは
タンパク質ダイエットとは、食事からより多くのタンパク質を摂取するダイエット方法のことです。食事に高タンパクな食材を取り入れつつ、炭水化物や脂質の摂取量を減らします。
タンパク質は、筋肉や内臓、皮膚、髪の毛など人間の身体を構成する重要な栄養素です。※1 また、タンパク質は、炭水化物や脂質と並び、三大栄養素のひとつとされています。
普段の食事から摂取している炭水化物や脂質は身体に必要なエネルギー源ですが、肥満の原因となることもあります。
炭水化物はほとんどが糖質です。糖質を過剰に摂取すると血糖値の上昇によって分泌されるインスリンの働きにより、太りやすい身体になってしまいます。また、脂質は1gあたりのカロリーがタンパク質の倍以上あり、カロリー摂取量の増加につながりやすいです。※2
その点、タンパク質の一部は脂肪として体内に蓄積されますが、ほとんどがエネルギーとして消費され、余りは尿として体外に排出されます。そのため、タンパク質はほかの栄養素に比べて脂肪になりにくいです。
タンパク質ダイエットでは、脂肪になりにくいタンパク質を多く摂取することで肥満の原因になり得る炭水化物や脂質の過剰摂取を抑え、痩せやすい身体を目指します。
タンパク質がダイエットに効果的な理由
タンパク質がダイエットに効果的だといわれている主な理由は次の3つです。
- 基礎代謝が上がる
- リバウンドしにくい
- 脂肪になりにくい
ちなみに、タンパク質の1日の必要摂取量は成人男性が65g、女性の場合は50gが目安です。※3 適切な量のタンパク質を継続的に摂取できていれば、より痩せやすい身体に近づきやすくなるでしょう。以下では、タンパク質がダイエットに効果的だといわれる理由を詳しく解説します。
基礎代謝が上がる
タンパク質は、太りやすい身体のベースとなる「基礎代謝」を維持するために重要な栄養素です。基礎代謝とは安静な状態に消費する必要最小限のエネルギーのことで、基礎代謝が高いと消費エネルギーは高く、基礎代謝が低ければ消費エネルギーも低くなります。
基礎代謝は身体の筋肉量も関係しています。筋肉量が多ければ基礎代謝が高まる一方で、筋肉量が少ない場合は基礎代謝も低くなる仕組みです。そのため、ダイエットをするなら筋肉量の低下を防いで身体の基礎代謝を高めることが重要です。
筋肉量の低下を防ぐためには、筋肉の材料となるタンパク質の摂取が欠かせません。タンパク質を摂取して筋肉量の低下を防げば基礎代謝も低下せず、より痩せやすい身体に近づけます。
リバウンドしにくい
タンパク質ダイエットはリバウンドのしにくさも魅力のひとつです。
食事制限によるダイエットに取り組む場合、脂肪だけでなく筋肉量も低下してしまいます。減量に伴う筋肉量の低下は食欲の増加につながりやすいといわれており、結果的にリバウンドしてしまうケースも少なくありません。
しかし、タンパク質ダイエットは筋肉量の低下を防ぎながら減量できるため、一般的な食事制限ダイエットに比べるとリバウンドする可能性を減らせます。
脂肪になりにくい
先述したとおり、食事から摂取したタンパク質の一部は脂肪として体内に蓄積されますが、そのほとんどが身体のエネルギーとして消費され、余った場合は尿として体外に排出されます。
ほかの栄養素に比べて脂肪になりにくいため、摂取量にシビアになりすぎることなく気軽にダイエットに取り組めます。
タンパク質を多く含む食材5選
タンパク質は主に肉類、魚介類、卵類、乳類、豆類に多く含まれています。ダイエット中の食事は摂取カロリーも気にしながら、これらの食材を積極的に取り入れるよう意識しましょう。
以下ではタンパク質を多く含む食材ごとに、タンパク質の量とカロリーを紹介します。
①肉類
食材の種類 | タンパク質(100gあたり) | カロリー(100gあたり) |
ささみ(生) | 24.6g | 107kcal |
豚ロース(赤肉 生) | 22.9g | 131 kcal |
豚ヒレ(赤肉 生) | 22.2g | 118 kcal |
豚もも肉(赤肉 生) | 22.1g | 119 kcal |
鶏むね肉(皮付き 生) | 21.3g | 133 kcal |
牛もも肉(赤肉 生) | 21.3g | 176 kcal |
出典:文部科学省「食品成分データベース」を加工して作成
肉類はタンパク質を効率良く摂取できるものの、カロリーが高い食品も多いので注意してください。ダイエット中はささみや豚もも肉など、低カロリーなものを中心に取り入れましょう。
②魚介類
食材の種類 | タンパク質(100gあたり) | カロリー(100gあたり) |
クロマグロ(赤身 生) | 26.4g | 115 kcal |
カツオ(春摂り 生) | 25.8g | 108kcal |
キハダマグロ(生) | 24.3g | 102kcal |
ゴマサバ(生) | 23.0g | 131 kcal |
ウルメイワシ(生) | 21.3g | 124 kcal |
マアジ(皮付き 生) | 19.7g | 112 kcal |
出典:文部科学省「食品成分データベース」を加工して作成
魚に含まれているDHAやEPAは、中性脂肪を下げる効果があるといわれています。肉類に比べるとカロリーも低く、ダイエットにおすすめの食材です。
③卵類
食材の種類 | タンパク質(100gあたり) | カロリー(100gあたり) |
卵黄 (生) | 16.5g | 336 kcal |
うずら卵(生) | 12.6g | 157kcal |
鶏卵(ゆで) | 12.5g | 134kcal |
鶏卵(生) | 12.2g | 142kcal |
出典:文部科学省「食品成分データベース」を加工して作成
卵は食材に取り入れやすいほか、栄養素の高さも魅力です。ビタミンやミネラルなど、タンパク質以外の栄養素も効率良く摂取できます。
④乳類
食材の種類 | タンパク質(100gあたり) | カロリー(100gあたり) |
ナチュラルチーズ(パルメザン) | 44.0g | 445 kcal |
ナチュラルチーズ(チェダー) | 25.7g | 390kcal |
無糖練乳 | 6.8g | 135 kcal |
ヨーグルト(全脂無糖) | 3.6g | 56 kcal |
脱脂乳 | 3.4g | 31kcal |
普通牛乳 | 3.3g | 61kcal |
出典:文部科学省「食品成分データベース」を加工して作成
乳類のなかでもチーズは特にタンパク質が多いです。ただし、カロリーが高いため、チーズをメインにした食事は控えることをおすすめします。乳類からタンパク質を摂取する場合は、カロリーが控えめな無糖ヨーグルトや牛乳を取り入れると良いでしょう。
⑤豆類
食材の種類 | タンパク質(100gあたり) | カロリー(100gあたり) |
挽きわり納豆 | 16.6g | 185kcal |
がんもどき | 15.3g | 223kcal |
大豆(ゆで) | 14.8g | 163 kcal |
木綿豆腐 | 7.0g | 73 kcal |
絹豆腐 | 5.3g | 56kcal |
出典:文部科学省「食品成分データベース」を加工して作成
豆類からタンパク質を摂取するなら、低カロリーの豆腐がおすすめです。豆腐には代謝を促進させる作用のあるマグネシウムも含まれており、積極的に取り入れるとより痩せやすい身体に近づきやすくなります。
タンパク質ダイエットにおすすめのレシピ
タンパク質ダイエットを無理なく続けるには、美味しく食事を食べることも大切です。ここからは、高タンパクな食材を使ったダイエット向きのレシピを3つ紹介します。
蒸し鶏と野菜の和え物
<材料(2人分)>
鶏むね肉 | 40g |
にんじん | 10g |
ターサイ | 14g |
クコの実 | 6粒 |
紅芯大根 | 10g |
オイスター胡麻酢ダレ | 適量 |
<作り方>
- にんじんとターサイを棒状に切り、茹でてから蒸し鶏と混ぜ合わせる
- 混ぜ合わせたにんじんとターサイ、蒸し鶏豆腐をオイスター胡麻酢ダレで和える
- ピーラーで薄く剥いた紅芯大根を盛り、最後にクコの実を飾る
出典:農林水産省「蒸し鶏と野菜の和え物」
高タンパクで低カロリーな鶏むね肉を使ったお手軽レシピです。簡単に作れるため、本格的な料理をする時間がないときに向いています。
サバのレンジピリ辛煮
<材料(2人分)>
サバの切り身 | 2分の1尾分 |
ねぎ | 2分の1本 |
みそ | 大さじ2 |
砂糖 | 小さじ4 |
酒 | 大さじ2 |
ごま油 | 小さじ2 |
豆板醤 | 小さじ1 |
<作り方>
- サバを半分、ねぎは3cm間隔で切る
- 合わせ調味料を混ぜ合わせる
- 耐熱容器にサバの皮を下にして置き、すき間にねぎを並べて調味料を塗る
- ラップをし、電子レンジで2分〜2分30秒加熱する
- 火が通ったら器に盛り付け、容器に残った汁をかける
出典:農林水産省「サバのレンジピリ辛煮」
電子レンジで加熱をするだけで調理できる簡単レシピです。食べ応えがあるため、夕食のおかずにもおすすめです。
梅和え水菜&ささみ
<材料(2人分)>
水菜 | 1株 |
ささみ | 90g |
梅肉 | 小さじ2 |
めんつゆ(3倍濃縮) | 小さじ1 |
白ごま | 少々 |
<作り方>
- ささみの筋を取る
- 鍋に水を入れ、沸騰したらささみを入れる
- 再沸騰したら火を止め、蓋をして10分蒸らす
- 水菜を洗い、食べやすい大きさに切る。ささみは手でほぐす
- 梅肉、めんつゆ、酒を混ぜ、水菜とささみを入れて和える
- 最後に白ごまをかける
出典:農林水産省「梅和え水菜&ササミ」
梅ならではのさっぱりとした味わいを楽しめる一品です。軽めの食事を摂りたいときに作ってみてはいかがでしょうか。
タンパク質ダイエットを行う際の注意点
タンパク質ダイエットを行う際は、次の3つに注意してください。
- 摂りすぎには気を付ける
- さまざまな食材を食事に取り入れる
- 手軽なプロテインも活用する
以下で各注意点の具体的な内容を解説します。
摂りすぎには気を付ける
タンパク質は摂取量が多いほど痩せるというわけではありません。より多くのタンパク質を摂ろうとすると食事の量が増え、過剰なカロリー摂取につながってしまう可能性もあるので気をつけましょう。
先述したように、タンパク質の1日の摂取目安量は成人男性が65g、女性の場合は50gです。この目安を上回らないように意識しながら、食材の量を調整しましょう。
さまざまな食材を食事に取り入れる
タンパク質ダイエットに取り組む際は、食材が偏らないように注意してください。例えば、「豆腐だけを食べる」「ささみだけを食べる」などのように高タンパクの食材だけを取り入れると、食事から摂取できる栄養が偏ってしまいます。
健康的な身体を維持するためには、ビタミンやミネラル、脂質などさまざまな栄養素が必要です。タンパク質以外の必要な栄養が不足した場合は、健康に悪影響が生じる可能性も考えられます。
食事の際はさまざまな食材を取り入れ、バランス良く栄養を摂取しましょう。
手軽なプロテインも活用する
毎日の食事から十分なタンパク質を常に摂取できるとは限りません。「多忙で食材にこだわる余裕がない」「体調不良で料理をする気力がない」など、タイミングによっては食事に気を回せない場合もあるでしょう。
このように食事からタンパク質を摂取するのが難しい場合は、プロテインを活用するのがおすすめです。
プロテインは、タンパク質を多く含んだ栄養補助食品です。食事からタンパク質を摂取できていない日も、プロテインを取り入れることでタンパク質不足を防げます。
十分な量のタンパク質を摂取して理想の身体を目指そう
タンパク質をしっかり摂取すると基礎代謝の低下を防ぎ、痩せやすい身体を作りやすくなります。タンパク質は肉類、魚介類、卵類、乳類、豆類に多く含まれているので、食事を摂る際は意識的に取り入れましょう。
また、タンパク質ダイエットが続くか心配な方は、パーソナルトレーニングジムの利用を検討するのがおすすめです。トレーナーによる食事指導を受けることでダイエットを続けやすくなるほか、「ジムに通って運動をする」という行為がダイエットのモチベーションを高めてくれます。
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参照文献
※1 e-ヘルスネット.たんぱく質.
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html(参照 2023年10月5日)
※2 日本食品分析センター.食品の熱量(エネルギー)について.
https://www.clinicfor.life/articles/diet-032/(参照 2023年10月5日)
※3 厚生労働省.タンパク質. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf(参照 2023年10月5日)
<監修者プロフィール>
神林由香
日本皮膚科学会正会員。日本美容皮膚科学会会員。日本先進医療医師会会員。日本抗加齢学会正会員。メンズヘルス医学会会員。 美容外科専門医(JSAS)。
東京大学理科2類中退後、2011年香川大学医学部卒。
東京女子医科大学病院初期研修、東京女子医科大学病皮膚科入局、2016年大手美容外科都内分院スキンクリニック院長などを経て現職。