プランクとは、体幹を鍛えるためのトレーニングです。プランクをすると身体にどんな変化があるのか、また自分が目指している身体作りに適したトレーニング方法なのか分からない人もいるでしょう。
この記事では、プランクにより鍛えられる筋肉、プランクで得られる身体への効果について解説します。
プランクとは
プランクとは、前腕、肘、足のつま先を付けて腰を上げ、その姿勢をキープする体幹トレーニングです。
プランクは、何らかの原因で腹筋に力が入りづらい場合に、胴部をしっかりと安定させられる腹筋の力をつけることができます。
プランクをアスリートが競技能力や動作を向上させる目的で行った際に、直接的に動作の向上に貢献するかは賛否がありますが、長期または短期の実施により、競技パフォーマンスを向上させる結果につながった報告もあります。※1
プランクで鍛えられる部位
プランクでは、腹斜筋、腹直筋、腹横筋などが鍛えられます。
腹斜筋はお腹の横に斜めにある筋肉で、外腹斜筋と内腹斜筋があります。腹直筋はお腹の真ん中の左右にひとつずつ縦に伸びている筋肉です。
また、プランクはお腹の外側の筋肉だけでなく、内側にある筋肉(インナーマッスル)も鍛えられます。
インナーマッスルは、内臓を支えている役割もあり、鍛えることで内臓が元の位置に戻り、ぽっこりお腹や内臓機能の改善効果も期待できます。
プランクで得られる効果
プランクで得られる主な効果は、体幹の安定とお腹周りの引き締め効果です。具体的にどのような面で効果が得られるのか、以下で解説します。
姿勢が良くなる
腹筋などの体幹の筋肉が弱くなると、身体を支えることが困難になり姿勢が悪くなります。すると、上半身をまっすぐ支えられず、徐々に猫背や反り腰の原因になります。
猫背や反り腰は、肩回りや腰回りの筋肉を緊張させ、肩こりや腰痛の原因にもつながってくるでしょう。
また体幹の筋力低下が進むと、まっすぐ立てなくなることもあり、身体のゆがみへとつながりかねません。
プランクで体幹トレーニングを行うことで、腹筋が鍛えられ身体を保持できるようになり、姿勢も良くなります。
さらに、お腹の筋肉でしっかりと体を支えられるようになるため、肩回りや腰の筋肉への負担軽減にもつながります。
バランスの良い身体になり、お腹が引き締まる
プランクで体幹を鍛えると姿勢が整い、内臓も元の位置に戻るためお腹が引き締まります。
さらに内臓が元の位置に戻ることで、見た目だけでなく、内臓機能の働きが改善され、便秘解消にもつながるとされています。
ただし、プランクは主に体幹部分の筋肉が鍛えられるため、腹圧はあまり高まりません。直接的に腹圧を高めて運動のパフォーマンスを上げたいのであれば、ほかのトレーニングをあわせて行うのがおすすめです。
肩こりや腰痛の改善・予防につながる
プランクを行うと姿勢が整い、ほかの筋肉への負担も軽減されます。
プランクでは、インナーマッスルである腹横筋も鍛えられます。腹横筋は、お腹の周りにコルセットのようにある筋肉で、筋力が弱くなると腰の支えが不安定になり、腰痛の原因になることもあります。
インナーマッスルが鍛えられ、体幹が安定することで、腰のブレがなくなり腰痛の軽減につながるでしょう。
また、腰にぐらつきがあると、体を安定させるためにほかの部分に負担がかかることも多いです。
プランクでインナーマッスルを鍛えることで、余計な部分に力が入らなくなるため、肩こりなど、ほかに不調を感じていた部分の改善も見込めるでしょう。
体力が向上する
プランクを行うことで体幹の筋力が鍛えられ身体が安定すると、動きがスムーズになり、効率的に身体を動かせるようになります。
効率良く身体を動かせるようになると、体幹が不安定なときよりも運動量を増やすことができるため、筋力アップや体力向上につながるでしょう。
また、運動量が上がるとエネルギー消費量も上がるため、ダイエット効果も高まります。
運動のパフォーマンスが上がりケガをしにくくなる
プランクで体幹が安定すると、身体がしっかりと支えられるため、ケガをしにくくなります。とくに跳躍動作で運動効果が認められたという研究報告もあります。※2
多くの競技動作では、体幹が強く動いて力学的に貢献しています。ただし、プランクにより直接的に運動時のパフォーマンスが良くなったという見解ばかりではありません。
プランクでのトレーニングが、体幹の動きに対する「意識づけ」になり、間接的にそれが運動の動きに影響した可能性があるとも示唆されています。※3
プランクの正しいやり方
プランクは間違ったやり方で行うと、別の筋肉に効いてしまうほか、ケガの原因にもなります。正しいプランクのやり方は以下の通りです。
- うつぶせになり足を伸ばす
- 肩の下に肘をつく
- 膝を上げて姿勢を保つ
- 頭から踵まで一直線になるように身体を保つ
- 頭は上げずに下を向く
お尻をあげすぎたり、腰が反ったりすると、プランクの効果が得られにくくなってしまいます。姿勢が一直線になるように意識して、行いましょう。
プランクを効果的に行うポイント
プランクを行うときのポイントを解説します。トレーニングを効果的に行うためにも、以下の点に注意して取り組むことが大切です。
お尻が高く上がらないようにする
プランクの姿勢をとるときは、お尻が高く上がらないように注意しましょう。お尻が上がると、本来鍛えたい体幹が鍛えられなくなってしまいます。
プランクでは、腹筋群の収縮と同時に大殿筋(お尻の筋肉)も収縮させると骨盤の適切な角度を保つことができるので、意識するようにしてください。
またお尻が上がりすぎると、背中が丸まってくることもあります。お尻が上がりすぎて、背中が丸まらないようにしていきましょう。
身体が一直線になるように、キープするのがポイントです。
腰が反らないようにする
プランクはトレーニングの特性上、腹筋群だけでなくお尻の筋肉である大臀筋にも自然に力が入ることが理想的です。
お尻に力を入れるためには、腰を反らないようにする必要があります。腰が反れると腹筋群と大殿筋は伸びやすくなります。
反対に腰を丸めると、腹筋群と大殿筋を同時に収縮しにくくなり、プランクで本来鍛えたい体幹が鍛えられません。
プランクの姿勢をとるときには、大臀筋も収縮させて腰が反らないようにキープしていくことも必要です。
【応用編】プランクの負荷を上げる方法
両手両足の4点でのプランクに慣れたら、3点支持で行うとさらに負荷がかかるためおすすめです。
通常の4点でのプランクから片手を上げて、3点で体を支えていくと姿勢を保ちやすくなります。片足を上げて3点で支えるパターンもあるため、左右の手足それぞれをひとつずつ上げて行うのを1セットにするのも良いでしょう。
さらに負荷をかけるのであれば、片手片足を上げて2点で体を支えていく方法もあります。この場合は、上げた手と反対側の足を上げていくようにしていきましょう。
2点の場合、足や股関節にも負荷がかかります。負荷をかけることで、姿勢が崩れやすくなるため本来の体幹の筋肉に効かなくなる可能性があるので、注意が必要です。
また、姿勢が崩れることで、ケガにつながることもあるため、正しい姿勢で行うことが大切です。
支点が少なくなるほど、腹筋以外の筋肉も使うことになるため、自分の鍛えたい部位や目的から外れないように気をつけましょう。
プランクで身体を引き締めて理想の体型を手に入れよう
プランクは、腹筋にアプローチして行う体幹トレーニングです。姿勢の改善や、運動パフォーマンスの向上の効果が得られます。
プランクは身体を引き締めるのにおすすめのトレーニングです。ただし、直接的に腹圧を高めて運動パフォーマンスを上げたい場合は、プランクだけでなく他のトレーニングもあわせて行いましょう。
理想の体型になるために、どのようなトレーニングを取り入れれば良いのか分からない方には、パーソナルジムがおすすめです。
24/7Workoutでは、一人ひとりに適したトレーニングメニューを提案しています。ご自身に必要なトレーニング内容や運動の頻度に悩んでいる方は、一度無料カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
参照文献
※1 谷本 道哉.体幹トレーニングの流行の背景と効果に関する考察.https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/27/1/27_27-003/_article/-char/ja/(参照2023年9月4日)
※2 大久保 雄.<腰部・体幹のアスレティックトレーニング> 体幹筋機能のエビデンスとアスレティックトレーニング.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsatj/5/1/5_3/_pdf/-char/ja(参照2023年9月4日)
※3 谷本 道哉.体幹トレーニングの流行の背景と効果に関する考察.https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/27/1/27_27-003/_pdf/-char/ja(参照2023年9月4日)
<監修者プロフィール>
樋口直彦
医療法人藍整会 なか整形外科 理事長、医療法人藍整会 なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック 院長、帝京大学医学部卒業、日本整形外科学会認定専門医、Vリーグ「サントリーサンバース」チームドクター。
帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。バレーボールVリーグのサントリーサンバーズのチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。スポーツ整形外科医として、患者さんの個々のケース、タイミングを共に考え最善の治療を行なっている。クリニック運営にICTを推進し、お待たせすることない診療が信条。
医療法人藍整会 なか整形外科
京都北野本院
京都西院リハビリテーションクリニック