筋力アップやダイエットなど理想のボディメイクを叶えたいなら、運動だけではなく、バランスの良い栄養の摂取も重要です。なかでもミネラルには身体を作る大切な作用があり、身体作りをしている人にとっては欠かせない栄養とされています。
ミネラルのほとんどは体内で生成できないため、毎日の食事で摂取する必要があります。過不足なくバランス良く摂るために、摂取する際のポイントを押さえましょう。
この記事では、ミネラルの働きや重要性、不足しやすい人の特徴、効率良く摂取するポイントなどを解説します。
ミネラルとは
ミネラルとは、身体を構成する4元素(酸素・炭素・水素・窒素)を除いた無機質の総称です。無機質のうち人体に欠かせないとされる必須ミネラルは、カルシウムやカリウムなど16種類あります。
必須ミネラル |
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ミネラルはそれぞれ働きが異なります。しかし、骨や歯の元となったり、神経や筋肉の機能を調整したりするなど、どれもが人体になくてはならない成分です。
ミネラルは体内では作り出せないため、食事から摂取しなければなりません。また、ミネラルはお互いの働きに作用し合うため、バランス良く摂ることも大切です。
身体作りに欠かせないミネラルとその働き
身体作りに欠かせないミネラルですが、具体的にはどのような働きをするのでしょうか。ここでは、身体作りに関係するミネラルを中心に、その働きを解説します。
脂肪を燃焼させる
ミネラルの一種であるマグネシウムや亜鉛は、脂肪の燃焼になくてはならない栄養です。
炭水化物やたんぱく質、脂質は身体を作る大切な栄養である一方で、エネルギーに変えなければ、カロリーオーバーにつながる原因にもなります。しかし、マグネシウムと亜鉛には細胞の代謝を促す働きがあるため、体内の脂肪燃焼を進める作用が期待されます。
そのため、マグネシウムや亜鉛が不足して脂肪燃焼が停滞すると、体脂肪が思うように減らない可能性もあります。
筋肉の成長を助ける
カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは筋肉の動きをスムーズにする働きがあり、トレーニングの効果を高めるのに役立ちます。
また、筋肉の維持や成長には、男性ホルモンであるテストステロンや女性ホルモンであるエストロゲンなどの性ホルモンが関わっています。これらの性ホルモンの正常な分泌にもミネラルが欠かせません。
特に、亜鉛は性ホルモンの合成や分泌に作用する大切なミネラルとして知られています。
スタミナがつく
有酸素運動は、酸素を使って体内の糖質や脂質をエネルギーに変換するもので、長時間行う必要があります。しかし、ミネラル不足により血中の酸素供給がスムーズにいかなければ、持久力が下がり、有酸素運動をこなせない恐れがあります。
ミネラルのひとつである鉄は血中で酸素を運ぶヘモグロビンの成分です。鉄をしっかり摂取しておけば血液へ十分な酸素が供給されるため、トレーニングにも好影響を与えると考えられます。
疲労を回復させる
トレーニングをするとたくさんの汗をかきますが、汗はただの水分ではなく、多くのミネラルを含んでいます。※1
運動中に失われやすいミネラルには、マグネシウムやカリウム、カルシウム、ナトリウムなどがあります。汗とともに流れる以外にも、体内の糖質をエネルギーにするために使われ、減少します。
また、鉄が不足すると全身の血流が悪くなり、筋肉がけいれんするなどの症状が現れる場合もあります。
運動中あるいは運動後にこれらのミネラルを補給して、疲労を回復させましょう。
ミネラルが不足するとどうなる?
先述したように、ミネラルは身体作りに欠かせない栄養です。ミネラル不足に陥ると人体に次のような不調が出ると考えられます。
筋力の低下や疲れやすさにつながる
ミネラルは筋肉の動きや神経伝達、体内の水分バランスなどに作用しています。そのため、ミネラルが不足すると、筋力の低下や脱力感など、心身に不調が表れます。※2
さらに、鉄不足になると酸素が脳に届きにくくなり、「トレーニングの疲れがなかなか取れなくなる」「立ちくらみがする」などの症状が出る場合もあります。
貧血になりやすくなる
ミネラルのなかでも、鉄が不足しやすいとされています。鉄は、赤血球のヘモグロビンや筋肉のミオグロビンの成分として欠かせないミネラルで、酸素や二酸化炭素を運ぶ働きをしています。
鉄が不足すると体内での酸素の運搬が上手くいかなくなり、鉄欠乏性貧血(脳貧血)や立ちくらみ、集中力の低下を引き起こす原因になります。
さらに、血流悪化によって冷え性になりやすくなります。特に女性は鉄不足になりやすいので注意が必要です。男性でも、激しいトレーニング中に脳貧血を起こすと、転倒などのリスクもあります。
ミネラルが不足しやすい人の特徴
近年では、食生活の変化により食材のバラエティが広がっている反面、加工食品を口にする機会が増え、栄養バランスが崩れていると指摘されています。
そのなかでも、ミネラル不足が懸念される人の特徴を紹介します。
食事内容に偏りがある
ミネラルは体内で生成されないため、毎日の食事内容の偏りがそのままミネラルバランスにも影響します。
ミネラルは、主に肉や魚などのたんぱく質に含まれます。食生活の変化はあるものの、日本人は欧米人に比べると肉や魚を食べる量が少なく、ミネラル不足になりやすいと指摘されています。
そのため、知らないうちにミネラル不足に陥っている可能性があります。
特に、ダイエットで食事制限をしている場合や野菜中心の食生活をしている場合には、ミネラル不足に注意が必要です。
定期的に激しいトレーニングを行っている
多くのミネラルは、汗などとともに体外へ排出されます。汗の成分は99%が水ですが残りにミネラルが含まれており、激しいトレーニングで大量の汗をかくとミネラルが不足します。※3
さらに、筋肉の維持や成長にもミネラルが使われるため、トレーニングをするほど、ミネラルは失われていきます。
ミネラルを効率的に摂取する方法
ミネラル不足になると心身に悪影響を与える場合があります。そこで、不足しやすいミネラルを効率的に摂取する方法を紹介します。
プロから食事指導を受ける
自分では気を遣っているつもりでも、多くの人が気づかないうちにミネラル不足に陥っている場合があります。
「ミネラル不足が気になる」「不安だと感じる」などの場合には、栄養士などから指導を受けて、食生活を見直すことがおすすめです。
プロからの指導と聞くとハードルが高く感じられるかもしれませんが、医療機関や地域の保健センター、パーソナルジムなど選択肢は多いので、自分に適した方法を見つけましょう。
サプリで補う
毎日の食事だけでは、身体に必要なミネラルを十分に摂取できない可能性があります。その場合には、不足しているミネラルをサプリメントで補うことも検討しましょう。
サプリメントは、余分なカロリーを摂取せずに、必要な栄養素を補給できる補助食品です。ただし、サプリメントはあくまでも食品の「補助」のため、肉や魚など、できるだけ食材からミネラルを摂取するように心がけましょう。
適切なミネラルの摂取が理想の身体作りに役立つ
ミネラルは身体作りに欠かせない大切な栄養です。体内では生成されないため、毎日の食事から積極的に摂取する必要があります。脂肪燃焼や筋肉の成長にも作用するため、筋力アップや理想の身体作りを目指すなら、ミネラルをバランス良く摂取しておくと良いでしょう。
しかし、ミネラルの摂取量まで考えた食生活を実現することは難しいかもしれません。その場合は、パーソナルジムのトレーナーなどから食生活についてアドバイスをもらうことがおすすめです。
24/7Workoutでは、目標に合わせた個別トレーニングだけでなく、栄養バランスなどを考慮した食事指導を受けられます。トレーニングをしながら正しい知識と食生活を身につけられます。
どうぞお気軽に無料カウンセリングをお試しください。
参照文献
※1 ※2 金子 佳代子.運動とミネラル. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh1994/6/3/6_3_6/_pdf/-char/ja(参照2023年9月12日)
※3 田中希代子, 西中信絵.発汗と水分補給:ビタミン・ミネラルの関係. https://www.jafs.org/educational_activities_business/open_lecture/open-lecture_25/health_and_nutrition_support_center02/pdf/documents_distributed02.pdf (参照2023年9月12日)
<監修者プロフィール>
杉岡充爾
すぎおかクリニック理事長。医学博士、日本循環器学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会健康スポーツ医。著書に「強い血管をつくれば健康になる」(ベストセラーズ)、「最高の疲労 回復法」(大和書房)、「おうちストレスをためない習慣」(クロスメディアパブリッシング)をはじめ多数執筆。メディア出演も多数。Youtubeでは『Dr杉岡のスーパー健康サポートTV』にて様々な健康情報を発信中。